覇王と鳳が求めるも麒麟に首は無く
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隊が鳴らす『黒麒麟の嘶き』による先端包囲戦術など他にも多数……彼と私で煮詰めた細かい戦術を“小隊長達が戦場の状態に合わせて独自決行”する事を許可され、それを行う事も出来たのでそこまでは達せないという意味です」
「な、なんですって!?」
「それではまるで……一つの軍では無いですか!」
驚愕。誰しもが雛里の言葉に耳を疑った。
徐晃隊の強さは決死の覚悟から来るものだと皆は思っていたのだ。それは正しいが、完成されていた一番隊と二番隊に於いてはほんの一部でしかなかった。
秋斗が作り上げてきた徐晃隊は、絶対服従の命令を果たす為に独自で行動を起こせる部隊。彼が一騎打ちしている時、先頭で突撃を仕掛けている時など将の細かい指示が回る事は無い。普通の部隊ならば副隊長が役目を受け持ち部隊を指揮するか、一騎打ちの場合はそのまま経過を見届ける為に縛り付けられる、もしくは部隊同士でただ争うだけ。彼の場合も副長が大きな指示を出していた場合がほとんどである。
しかし……敵が均一に減っていくわけでは無い戦場で、大きな指示だけでは足りないと秋斗は判断していた。一人でも多くを殺し、一人でも多くを救う為には、もっと細かく精密に動けなければならないと考えて、四人で眠る寝台の上で雛里とどうすれば為せるかと二人で煮詰め、短期間で隊員達に血を吐くような訓練を積ませて化け物を作り上げた。
嘗ての袁紹軍突破戦では、秋斗が先頭を切り拓き、雛里に付き従った副長が全ての小隊に余すところなく指示を出したから五倍以上の兵による十面埋伏陣を耐えられたのだ。
徐晃隊の本当の強さは、大きな戦場を部隊毎の、さらには小隊毎の小さな戦場に変える特異戦術だったのだと理解して、華琳はほうとため息を吐いた。
「徐晃隊は黒麒麟の身体、まさしくその言葉の通りだったのね。小隊長の判断に任せられる程の信頼関係とそれに見合った練度、互いに変わる事の無い想いの共有と狂信にまで発展した……末端まで行き渡る絶対服従の精神。確かに、そんな部隊は如何に私の軍でも作れないわ。私自らが兵の調練を毎日行えるのなら別だけれど」
「……華琳様自らが作るのでしたら確かに作れますが、その場合は副隊長に春蘭さんや夏侯淵さんを置いて初めて完成します。数として一人でも多くを救う為に作られた部隊で、さらには、唯一無二の副長が居てこその黒麒麟の身体でした。練度の面に於いて第一から徐々に仕上げて行くつもりでしたが……黒麒麟も徐晃隊副長も最精鋭兵も失われた今となっては、華琳様も政務で忙しいので、もう作れません」
失ったモノは余りに多く、大きすぎた。同一のレベルまで達する事は現状で不可能だと、華琳も気付いた。
「徐晃と副長の存在……そして先行く隊員の狂信に引き摺られてこそ作れた、か」
ぽつりと零された一言に、雛里は彼と一番仲
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