覇王と鳳が求めるも麒麟に首は無く
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向け、一寸だけ説明していいものかと悩んだが、華琳の器の広さを信頼して伝えておく事にした。
「防御主体だとしても徐晃隊の連携連撃は決死有りきです。前衛が命尽きるまで死守し、一人が死ねば後ろの一人、と当然の如く出られなければ徐晃隊には及びません。華琳様の軍内で訓練を積んで徐晃隊と同じ事が出来るようになるのは……兵達から絶対の信頼を受け、絶大な指揮能力を持つ春蘭さんの部隊くらいです」
「わ、私か?」
話を向けられた春蘭は組んでいた腕を解いて自分を指さす。華琳はそこで沙和達の部隊では成り得ない理由に気付き目を細めた。
「はい。己が掲げる主……では無く将の為に死んでいい、個人の武力を鑑みても兵達がそうなれるのは春蘭さんと霞さんの部隊だけでしょう。霞さんの部隊は騎馬なので徐晃隊の戦術を取る事が出来ません。最も、二人の部隊はそんなモノを覚える必要が無いほどに完成されていますが」
雛里の説明に名が出た二人は受け持っている部隊を思い出し、ポンと一つ手を叩いた霞が先に口を開いた。
「あー……確かにウチのバカ共はたまに死んでもいいとかいいよるけどな、あんな細かいの馬から降りても無理やで。まあ、部隊が出来ても春蘭にあれは無理やろ」
「なんだと!? 私が徐晃に劣っているとでも言うのか!?」
食って掛かる春蘭に対して、ふるふると首を振った霞はジト目で見据えた。
「そうは言うてへん。春蘭には向いてへんだけや。細かい戦術と小隊指揮でちまちま敵の数減らすよりも、ばーっと行ってがーっと突撃する方がええやろ?」
「む……そ、そんな事は無いぞ? 私だってなぁ――」
「あんたにあの部隊の扱いは絶対無理よ春蘭。前も明……張コウの部隊相手に真正面からぶつかっていったじゃないの。確かにその選択も正しかったけど、他にあるいいやり方を私が説明してあげたっていうのに」
「あれは――」
桂花に指摘され、また言い返そうとした春蘭であったが、華琳がコホンと咳払いを一つ落とした事で口を噤んだ。
「春蘭、あなたにはあなたのやり方があるのだから徐晃に張り合わないでいいわ。確かに沙和では……凪でも多分無理ね。春蘭や霞のように部隊の隅々まで行き渡るような求心力は実力的にも性格的にも……本当に長い時間を掛けないと手に入らない。それなら彼女達のやりたいように部隊を作らせた方が信頼も生まれると言うモノ。
でも……生き残っている徐晃隊、というのはどういう意味?」
もう一つの引っかかった所を上げて、雛里を見た華琳はそこに悲哀を少し見て取った。
「徐晃隊に於いて基礎連携の仕方はどの兵も同じですが、殉死した一番隊と二番隊だけは規格外でした。残存の徐晃隊の連携戦術に加えて、小隊長率いる数十人が行う独立突撃戦術、乱戦に於ける小隊分離の攪乱戦術、十を超える小
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