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異伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(ヴァレンシュタイン伝)
異聞 第四次ティアマト会戦(その1)
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卿、一体どういうつもりだ、少佐に何をした!」
俺の叱責にフレーゲルが顔を上げた。少佐を抱きしめたまま恥じ入る様子もない、殴りつけてやろうかと思った時、フレーゲル男爵が憤然とした様子で言い返してきた。

「勘違いするな、ミューゼル! 私じゃない、あの男だ!」
フレーゲルじゃない? 彼が指をさす方向を見ると一人の士官が呆然とした様子で立ち尽くしている。どういう事だ? フレーゲルが少佐を助けた? キルヒアイスも困惑している。あの男がヴァレンシュタイン少佐に乱暴をしたのか? なんだ、この男? 何処かで見た様な……。

「卿、何者だ、何処かで有った事が有るか?」
俺の言葉に反応したのはフレーゲル男爵だった。
「馬鹿か卿は! 彼はコルプト子爵だ、分かったか」
「馬鹿は余計だろう!」
「何!」
「ラインハルト様!」

キルヒアイスが俺の袖を強く引く。少しバツが悪かったがムッとしている男爵を置いてコルプト子爵を見た。なるほど確かにコルプト大尉に似ている。子爵家の当主という事は兄か? ここには大尉の復讐をしに来たという事か……。
「一体何が有ったのだ」
誰かに問いかけたわけではなかった。だがフレーゲル男爵が俺の問いに答えた。

「廊下を歩いていると突然悲鳴が聞こえた、助けてくれと言う声もな。慌ててドアを開けると彼女が服を破かれた姿で倒れていた。駆け寄ると泣きながら助けを求めてきた。子爵が乱暴しようとしたらしい……。何だその眼は? 疑うのか」
「いや、そういうわけではない」

この男が少佐を助けた? 弱みに付け込むなら有りそうだが助けた? どうも信じられない……。キルヒアイスも奇妙な表情をしている、納得がいかないのだろう。しかし少佐は抵抗していないのだ、事実か、或いは事実に極めて近いのだろう。

部屋を見渡した、今まで気付かなかったがロイエンタール、ビッテンフェルト、ミッターマイヤーの三人が居る。一体何をやっていた? 何故三人とも呆然としているのだ? 憲兵隊がやってきた、しかし俺達の様子に踏み込めずにいる。まあ確かにそうだろう、貴族二人に帝国軍大将が争っているのだ。

「ビッテンフェルト少将、一体何が有ったのだ?」
「はっ、それは」
ビッテンフェルトが困惑した表情でロイエンタール、ミッターマイヤーを見た。視線を向けられた二人も困惑したような表情をしている。どうもはっきりしない。

「コ、コルプト子爵が、突然部屋に、は、入ってきて……」
ヴァレンシュタイン少佐が話し始めた。これで何が起きたか分かると思ったが、すぐに少佐は咽び泣き話が中断した。
「フロイライン、大丈夫だ、このフレーゲル男爵が付いている。落ち着いて」
フレーゲルが少佐の背をさすっている。こいつ、どうもムカつく。

「ミッターマイヤー少将を、殺すと。戦場
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