第十二章 妖精達の休日
第二話 騎士へと至る道
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団とベアトリスを見つめているだけ。
「っ、ちょ、隊長っ! こ、ここはほんと堪えて! 相手クルデンホルフ大公国のお姫さまだって!! 問題を起こしたら大変なんだよっ!!」
士郎の足元にすがりつきながら、ギーシュが悲鳴のような声を上げる。
目を細めた士郎が、足元にすがりつくギーシュを見下ろす。
「……で、本当のところは?」
「家が借金をこさえているんで、問題起こしたら実家から殺されてしまうんだ」
「………………」
「………………」
士郎とギーシュの視線が交わるが、
「…………てへ」
直ぐにギーシュが目を逸らし外してしまう。
「―――では問題ないな」
てへぺろと舌を出して小首を傾げるギーシュを蹴り飛ばして足から外した士郎は、身体にすがりつく他の三人を虫を払うように引き剥がすと、地面に転がるギーシュたちを腕を組み見下ろした。
「まあ、あのお姫さまの言っていることは特に間違いではない」
「な、なら―――」
士郎の言葉に喜色を浮かべたギーシュがガバリと勢い良く顔を上げた。士郎はそんな喜びが浮かんだギーシュにニヤリとした笑みを向けると、ゆっくりと口を開いた。
「だから、お前たちが逝ってこい」
「「「「…………は?」」」」
士郎が言った言葉の意味が分からず、一瞬呆けたギーシュたちだったが、時間と共に理解が頭に染み込むと、一気に立ち上がり再度士郎に詰め寄っていく。
「ちょ、ちょちょちょっと隊長! さっき言ったこと聞いてなかったの!? クルデンホルフ大公国と揉め事を起こすわけにはいけないんだって!!」
「い、いってこいって、ぼくらにあの空中装甲騎士団と戦えって言ってるのかいっ!?」
「相手はハルケギニア最強と言われてんだよっ!」
「ああ、そうみたいだな。良かったな。これに勝てばお前たちが最強と言うわけだ。男なら一度は最強を夢見るものだろ? いいチャンスじゃないか。気張っていけ」
にこやかに笑う士郎の目が本気であることを悟ったギーシュたちは身を寄せ合い、背筋に走る寒気にブルリと身体を震わせた。
「え、えっと。た、隊長、ほ、本気で言ってるの?」
「く、クルデンホルフのお姫さまも言ってるじゃないか。か、勝手に他の国の騎士団と戦ったら問題だって」
「ああ。だからお前たちがやれば問題はない」
「「「「は?」」」」
士郎の言葉に、ギーシュたちの口から疑問の声が漏れる。士郎はギーシュたちの疑問に笑顔を深くして頷いて見せた。
「実はお前たちは、まだ正式に水精霊騎士団に入団しているわけではないんだ。まあ、言ってみれば仮入団と言ったところか。だから、お前たちが他の騎士団と問題を起こしたとしても特に問題はないってことだ」
「「
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