第十二章 妖精達の休日
第二話 騎士へと至る道
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と思うほどの数が集まっていた。
「もうっ! 何をぐずぐずしているのっ! さっさとあの女を捕まえなさいっ!!」
騎士団の背後でベアトリスが大声で騎士たちを叱責する。騎士たちは肩越しに自分たちの主を確認すると、周りの騎士たちと顔を見合わせあう。躊躇するように顔を視線をうろつかせるが、覚悟を決めたように一度目を硬く瞑り―――開く。
手に掴んだ杖を強く握り締め、騎士団の中から一際大柄な騎士が一歩前に進み出た瞬間。
「これはまた、随分と派手にやっているな」
「―――シロウさんっ!」
セイバーたちを取り囲む群衆を掻き分けて、士郎が姿を現した。セイバーの背後で不安そうに震えていたティファニアの顔に一瞬喜色が浮かんだが、直ぐに眉根が下がり悲しげな顔になった。
「さて、これは一体どんな状況なのか誰か教えてくれるか?」
「っ、あなた何よ! 関係ない人が入ってこないでくださる!」
セイバーと騎士たちを見回しながら進み出た士郎に対し、ベアトリスが眉根を釣り上げて激昂する。少女特有のキンキンとした金切り声に、不快気に騎士たちの眉間に皺が寄った。しかし、その声を向けられた士郎の口元に浮かんだ不敵な笑みには、ピクリとも変化は見えない。
そして、士郎の瞳は暗く冷え切っていた。
「関係がない?」
士郎は目を細め見つめると、ベアトリスはその視線の冷ややかさに、びくりと身体を震わせた。
「な、何よ、あ、あなたに一体何の関係があるって言うの」
「あるが……それを説明する義理も義務も俺にはないな」
「っ―――説明出来ないって言うなら引っ込んでなさいっ! いくらあなたが強いからって、わたしの空中装甲騎士団に勝てると本当に思っているの!? それに、女王陛下の近衛が自分の都合で勝手に他国の騎士と戦って問題ないと思っているのかしら? あなた学院生の使い魔だって聞いたけど、主に迷惑が掛かるかもしれないわよ。ああ、迷惑で済めばいいけど、クルデンホルフ大公国のお姫さまに楯突いたってことは、もしかしたらもっと酷い処分が下るかもしれないわね」
ヒステリックに叫んだベアトリスだったが、何かに気付くと意地の悪い笑みを浮かべて士郎の身動きを取れないよう画策をし始めた。どんどんと不利になっていくが、士郎は何処吹く風にと変わらない。興味無さげに細めた目でキャンキャンとわめきたてるベアトリスを見ているだけ。
そんな士郎に背後から掴みかかる人影が現れた。
それは士郎が出てきた群衆の一団から駆け出してきた四人の人影である。
四人の人影―――ギーシュ、マリコルヌ、ギムリ、レイナールの四人は、士郎に駆け寄ると腕やら服を掴むと引っ張って野次馬たちの下へと向かおうとした。
しかし、士郎はピクリとも動かず騎士
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