第十二章 妖精達の休日
第二話 騎士へと至る道
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、恐怖が理性を犯し、悲鳴を上げさせるその間際。
「―――っ、そ、そんな事を言われても、信じられるわけがないですわっ! だってハルケギニアの歴史は、エルフとの戦いの歴史なのですからっ! しょ、証拠もないのに突然そんな事を言われても、信じられるわけがありませんわっ!!」
それを回避させたのは意外にもベアトリスであった。
騎士団たちの背後に立つベアトリスは、騎士団の身体が邪魔で見えないセイバーに向かって声を上げる。騎士たちが怯えて縮こまる中、ベアトリスが声を張り上げられるのは、しかし別段ベアトリスが強い理由だからではない。セイバーが警戒しているのは、突然教室に侵入してきた武装集団である空中装甲騎士団だけであったため、直接的な警戒を向けられていない生徒たちには、騎士団たちに比べれば威圧感は感じていなかった。
しかし、だからと言って一瞬で騎士甲冑を身に纏い、恐ろしい程の魔力を身体から滲み出させるセイバーを前にして何か言えるだけでも大したものであった。
「っ、そ、そうですわ。き、きっと騙されているのですね! ミス・ペンドラゴンのような方がそんな薄汚れたハーフエルフを擁護するなんておかしいと思ったのですわ! きっとエルフの“先住魔法”で操っているのでしょう! そうよ。きっとそういう事よ。なら、納得できるわ」
何やら自分の口にした言葉にうんうんと頷き、納得した様子を見せると、ベアトリスは騎士たちの隙間から見えるティファニアに向かって指を突きつけた。
「やっぱりエルフの使う“先住魔法”は悪魔の魔法ね! 空中装甲騎士団!」
悲鳴のような声で命令を下すベアトリス。その目には、既に正常な光の姿はなく。何処か狂気に近い光が宿っていた。
「あの女を退治しなさいっ!! 人心を惑わし狂わす魔女よっ!!」
金切り声で叫ぶようなベアトリスの命令に、騎士たちは互いに目配せをして躊躇いを見せたが、隊長が歯を噛み締めながらも重々しく頷くのを見ると、各々腰に差した杖に手を伸ばした。
「―――仕方がありません、か。すみませんティファニア。少し移動します」
騎士たちの目に決意と覚悟を見たセイバーは、説得は難しいと判断すると、隣に立つティファニアを抱き寄せて素早く両腕で持ち上げ教室の中を駆け抜けた。余りの早業に、誰も反応することが出来ない。魔法を放つどころか、静止の声さえ上げられないでいた。一瞬で窓際まで駆け寄ったセイバーは、そのまま止まることなく、破壊され尽くし、もはや窓とは言えなくなった元窓から躊躇いを見せることなく身を躍らせた。
「……アルト、ごめんなさい」
「何故謝るのですか?」
「だって、わたしが
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