第十二章 妖精達の休日
第二話 騎士へと至る道
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りの視線に、ベアトリスが一歩後ずさった瞬間である。
教室の窓ガラスが一斉に破れたのは。窓ガラスを破壊して教室に飛び込んできたのは、二十人近い騎士であった。突然の出来事に生徒たちの口から悲鳴が上がる。怒濤のごとく巻き起こる出来事の数々に、シュヴルーズはとうとう気絶してしまう。
教室に飛び込んで来た騎士たちは、訓練された動きでベアトリスを守るように取り囲んだ。生徒の中の一人の男子が、騎士が身につけた鈍い青色に輝く甲冑の胸に刻まれた空を目指す黄色の竜の紋章を見て叫ぶ。
「空中装甲騎士団!」
その言葉に悲鳴を上げるだけの生徒たちの目が驚きに見開かれ、その現ハルケギニア最強の呼び声高い騎士団の姿に感嘆の唸りを響かせた。
ベアトリスを囲む騎士団の中から、隊長と思しき男が、一歩前に進み出ると、腰から抜いた細身の軍杖をティファニアに突きつけた。
否―――正確には何時の間にかティファニアを守るように前に出たセイバーに、である。
「動くな。それ以上殿下に近寄れば死ぬものと思え」
相当な訓練を行っているのだろう。傍から見ても隙は全く見えない。自分に杖を向けられているわけでもないのに、生徒たちは汗が滲み出るのを止められないでいた。
しかし、杖を向けられている当事者であるセイバーは涼しい顔で自分に杖を向ける男を睨みつけていた。
「―――誰にものを言っている」
静かに口を開くセイバー。
小さく抑えられている声にも関わらず、その声に秘められた怒りの大きさに、杖を向けていた隊長の身体がびくりと震えた。
年端もいかないような少女の声に怯えた自分の事が信じられず、目を驚きと戸惑いに見開いた隊長は、知らず震え始めた自分を鼓舞するように声を張り上げた。
「だ、黙れっ! エルフのような化物に味方をするような輩が! だ、誰が口を開いていいと―――!!」
隊長の声は途中で遮られた。
誰かが話しに割り込んだ理由ではない。
突然何の前触れもなく発生した突風によってである。
セイバーを中心に渦を巻く風は、もはや竜巻と言ってもいいだろう。騎士団が教室に飛び込んできた際に破壊された窓が、窓枠ごと外へと向け飛んでいく。教室の中発生した局地的な竜巻は、鍛え抜かれた騎士たちでさえまともに動けないほどである。飛ばされないよう必死に床にすがりつく生徒と騎士たち。数秒かそれとも数分か。唐突に発生した竜巻は発生と動揺に突然消え去った。
「黙るのは―――貴様たちだ」
氷の刃のように冷たく鋭い声と共に、名残のように渦を巻いていた風がセイバーを中心に放射線状に散る。
顔を叩く風に一瞬目を瞑った生徒たちが、床に尻を着いた姿で恐る恐ると目を開くと、そこには一人の騎士がいた。
白銀
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