第十二章 妖精達の休日
第二話 騎士へと至る道
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に染めた。
「皆さんが怖がるのは無理はありませんが、どうか話だけでも聞いてください。わたしは見ての通りエルフの血が流れてはいます。だけど、決して皆さんに危害を加えようなどと言った気持ちは持っていません。ただ、皆さんと仲良く出来れば、一緒に学び、話を出来ればと思いアルビオンの森からやってきたのです」
一言一言噛み締めるように訴え掛けるティファニア。
しかし、皆エルフに怯えるだけでティファニアの話がまともに聞いてはいなかった。
「ふ、ふざけた事を言わないでっ!」
リゼットが身体を震わせながらも大きく声を上げた。
震える身体でティファニアを指差すと、恐怖と怒りが混じった声を吐き出す。
「そ、そんな馬鹿な話を信じられるわけないでしょ! だ、誰がそんなエルフの話を信じられると思っているの!」
リゼットの叫びに、震えながら何人かの生徒が頷いて見せる。
震えるリゼットの前に進み出たベアトリスが、恐怖によるものか、それとも怒りによるものか身体を小刻みに震わせながらティファニアを指差す。
「そうよ! 誰が騙されると思っているの! わたしたちがどれほどあなたたちエルフと戦ってきたか知ってて言っているの! あなたが何を言ったとしても、信じる者など何処にもいやしないわ!」
「私は信じている」
「―――な」
静かな声に生徒たちの視線が一斉に声の主に集まる。
セイバーは一歩前に進み出ると、強い視線で生徒たちを見回した。
「誰が何と言おうとも、私はティファニアを信じている。何も知らないのは、あなた達の方だ。ティファニアはあなた達の知るエルフとは違う」
「そ、そんな、な、何を言っているのですか」
憧れの人物がよりにもよってエルフの弁護をするのを見て、ベアトリスの顔が奇妙な形に引き攣る。
「ベアトリスさんの言う通り、確かにエルフとハルケギニアの人たちが争ってきたのは事実ですが、わたしの父と母は違いました。父は母をとても愛していましたし、母も父を愛していました。だから、わたしは母のエルフの血と、人である父の血の両方を愛していますし、誇りにも思っています」
胸に手を当て真摯に訴え掛けるティファニアを、嫉妬で濁った目で睨みつけていたベアトリスが鼻で笑った。
「はっ、何よあなた、ハーフだったの。エルフの色香に狂った男の娘だなんて、ただのエルフよりもなおタチが悪いじゃない!」
「―――ッ! 父を侮辱しないでッ!!」
ベアトリスの言葉に顔面を蒼白に変えたティファニアが、悲鳴のような怒声を張り上げた。生まれて初めて感じた目の前が真っ赤に染まるほどの怒りに押され、窓ガラスが揺れる程の大声を上げたティファニアは、噛み付かんばかりの視線をベアトリスに投げかける。
初めて向けられる本気の怒
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