第十二章 妖精達の休日
第二話 騎士へと至る道
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んっ!」
初めて聞くティファニアの大きな声に驚き教室が静まり返る。
シンっと静まり返った教室の中、シュヴルーズが戸惑いながらもティファニアに近づくと、その服を眺め始めた。
「ミス・ウエストウッドのお母さまのローブですか。変わった作りですね。しかし……何処かで見たよう……―――ッ! こ、これはまさか、い、いえ間違いありません。この縫製のやり方、砂漠の民、それも―――」
ハッと顔を上げたシュヴルーズがティファニアから離れるように後ずさると、震える腕を持ち上げティファニアを指差した。
「―――あ、あなたの母とはまさか、そ、そそ、その、え、エ、え、ええ、エル―――」
あからさまに怯え震えるシュヴルーズの姿に一瞬悲しげに目を伏せたティファニアだったが、直ぐに意を決したように教室を見渡すと、目深に被ったフードを勢い良く脱ぎ去った。
顕になる顔、髪、そして―――。
「―――エルフ!」
長い耳。
その明らかに人とは違う耳を見た生徒の一人がその正体を叫ぶと、教室が一瞬でパニックに陥った。
一斉に席を立った彼らは、出来るだけティファニアから離れようと転がるように逃げ出す。壁に張り付くように後ずさった生徒たちは、ガクガクと身体を震わせながらティファニアを怯えた目で見つめる。シュヴルーズも腰を抜かしたのか、床にへたりこんだ姿で這ってティファニアから離れようとしていた。
そんな悲鳴と怒声が上がり収集の目処が全くつかない教室に、鋭い一括が響き渡る。
「静まれッ!!」
その声に秘められた威に萎縮され、再度教室が静まる。
教室中の目が一体誰の声だと発生源に視線を集中させると、そこにはティファニアの横に控えるように立つセイバーの姿があった。
学院の制服に身を包んだその姿は、可憐の一声でありながら、今のセイバーには、見るだけで人を跪かせるほどの何かがあった。貴族である生徒たちは思わず膝を折りそうになるが、その横に立つティファニアを視界に収めると慌てて頭を振って我に返る。
教室を見回し静まったのを確認したセイバーは、視線を横に向けてティファニアを促すように顎を引く。ティファニアはセイバーに頷いて見せると一歩前に出た。
「驚かせてすみません。どうかわたしの話を聞いてください」
一歩前に出たティファニアは、深々と頭を下げた。
ゆっくりと顔を上げると、顔に掛かっていた髪がサラリと音を立て肩に落ちる。窓から差し込む日の光がティファニアの姿を照らし出す。白い肌と金の髪が太陽の光を反射させ、まるでティファニア自身が光輝いているかのように見せる。エルフと言う恐怖の代名詞を前にし、怯えと恐怖に顔を染めていた生徒たいの顔が一瞬だけ呆けたように緩むが、直ぐに髪から覗く長い耳を目に入れると、再度顔を恐怖
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