第十二章 妖精達の休日
第二話 騎士へと至る道
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リスさん! どうしてそんなに拒絶するんですか! 確かにハルケギニアの人たちとエルフはこれまで幾度となく争ってきました! でもっ、それは今、わたしたちに直接関係することなんですか!? わたしはただ、外の世界を見てみたかった……そして、友達が出来れば、それはとても素敵なことだなって……ずっと、夢見てた……!」
祈るように手を組み、涙に瞳を濡らしながら訴え掛けるティファニアは、陽光に照らされキラキラと輝いて見えた。まるで神に祈るかのような敬虔な姿と、真摯なその訴え掛けに、周囲に集まっていた生徒たちの口から感嘆の息が漏れる。
観客のように士郎たちの周囲を取り囲む生徒たちは、事情を知る者たちからティファニアがエルフだと聞いて、最初は恐怖に宿った目で見ていた。しかし、時間が経つにつれ、ティファニアの入学してからの姿と、今の訴えを聞いた生徒たちは、ティファニアが噂に聞く邪悪と恐れられる砂漠の妖精に思えなくなり、次第にエルフに対する恐怖の感情が収まりつつあった。中には声を上げてティファニアを擁護する者もいた。
ベアトリスは周囲の意識が自分から急速に離れティファニアに向かっていくのを敏感に感じると、焦り、怒り、苛立ち等様々な感情が渦を巻き、思考が混乱に陥ったまま焦燥に駆られるまま、叫ぶように命令を下した。
「い、いい加減にしなさいっ! そ、そんなデタラメをっ! もういいですわっ! 空中装甲騎士団! さっさとあの女を取り押さえなさいっ!!」
ベアトリスの命令に、空中装甲騎士団が揃って一歩前に足を踏み出す。
ティファニアはこれを止めようと更に前に出ようとするが、突然横から出された腕に遮られ立ち止まってしまう。
「え、し、シロウさん?」
「さて、お前たち。どうする?」
ティファニアの視線を無視し、士郎は前に立つ四人の背中に声を掛ける。
ギーシュたち四人は、士郎の声に背中を向けたまま軽く肩を竦めて見せた。
「隊長に言っただろ。美しい貴婦人を守るのは騎士の仕事だってね」
「色々と言いたいけど。ま、それには同意するよ」
「仕方がないか」
「ふふっ。美少女のためを思えば苦痛も歓喜に変わるってものよ」
若干一名の意見を無視し、士郎は応じるように肩を竦めて見せた。
「相手はハルケギニア最強の一つに数えられる騎士団だぞ?」
口の端を曲げながら揶揄うように士郎がそう尋ねると、ギーシュたちは肩越しに振り返り不敵な笑みを浮かべた。
「これまでの鍛錬を思えばどうってことないさ」
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