第十二章 妖精達の休日
第二話 騎士へと至る道
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「ミス・ペンドラゴン?」
ざわりと教室が騒めく。
シュヴルーズだけでなく生徒の多くが教室を見回す。しかし、誰の目にも目的の人物の姿は捉えられない。
意地悪く笑っていたベアトリスたちも、予想外の人物の欠席に驚き辺りを見回している。
噂の転校生二名が同時に欠席。明らかに関係あるだろうその理由を想像し予想する生徒たちが互いに自分の意見を話し始めた。ざわめきが騒々しくなるのはあっという間であった。
教壇に立つシュヴルーズが静かにさせようと魔法を使おうと杖を振り上げたその時である。
「―――失礼。遅れました」
涼やかな声と共にガラリと教室の扉が開いたのは。
教室中の視線が一斉に扉に向けられる。開いた扉の向こうにいたのは、噂の内の一人―――セイバーだった。
「どうかしたのですかミス・ペンドラゴン。あなたが遅刻するなんて珍しいですが、そう言えばあなたはミス・ウエストウッドと同室でしたね。彼女も一緒ですか?」
「はい。ティファニアなら一緒にいます」
シュヴルーズの質問に頷いたセイバーは、開いた扉の影に隠れていたティファニアを促す。
セイバーに促され教室中の視線が集中する中進み出たティファニアの姿に、戸惑ったような声が教室のあちこちから上がった。
「え? あれ、何?」
「見慣れない服だな?」
俯き歩み出たティファニアの格好は、何時もの魔法学院の制服姿ではなかった。
袖の部分が波打ち花びらのような形をした砂色のローブを、ティファニアは身につけていた。何時も被っている帽子の変わりに、ローブについているフードを目深に被っている。セイバーに促され前に進み出たティファニアは、胸の前で拳を握り締めながら顔を上げた。
「全く二人揃って遅刻なんて寝坊でもしていたのですか? 今日のところは授業がまだ始まっていないので遅刻扱いはしませんが、それよりもその格好を何とかしなさい。今日は仮装パーティーでも何でもありませんよ。直ぐに着替えてきなさい」
腰に手を当てシュヴルーズが叱責する。
「そうよ。ここは仮装パーティーの会場じゃありませんわよ。そんな変なローブを着て。もしかして帽子の変わりにそれを着たのかしら? いやねぇ、田舎者は。まるで道化師ねその格好」
ベアトリスの取り巻きの一人であるリゼットが殊更大声でそう口にすると、教室のあちらこちらからくすくすと笑い声が漏れ聞こえてきた。笑い声を上げるのは全員が女子生徒であり、人気者のティファニアにいい感情を持っていなかった者たちである。
悪意が混じった笑い声が上がる中、ティファニアは声を張り上げた。
「そ、そんなこと言わないでくださいっ! これは、これはわたしの母のローブです! 道化師の服なんかじゃありませ
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