第十二章 妖精達の休日
第二話 騎士へと至る道
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……………………
「―――ティファニア、それは本気で言っているのですか?」
「……うん。もう決めたから」
「どうなるか本当に分かっているのですか? あなたはもう簡単に逃げられるような立場ではないのですよ」
「だからこそよ。だから……決めたの。正面から立ち向かおうって……どうせ、早いか遅いかの話だし、それなら早い方が良いと思って」
「……決意は強いようですね。分かりました。それなら私も覚悟を決めました」
「えっと、アルト?」
「……結果がどうなろうと、必ずあなたを守る事を誓いましょう」
「……ごめんね……ありがとう」
…………………………。
ティファニアがとある決意をしたその翌日。
一年生のソーンのクラスでは、1時限目である“土”系統の授業が始まろうとしていた。教鞭を取るのは“赤土”の二つ名を持つ色々と豊かな肢体を持つ最近お腹のお肉が気になりだしたミセス・シュヴルーズである。教室の中に入った彼女は、教壇の前に立ちクラスの中を見渡すと、名簿を開き出欠を取り始めた。
出欠が半ばを超え、一人の少女の名を告げる。
「ミス・ウエストウッド」
だが、返事はない。
名簿から視線を離し、クラスを見渡すともう一度声を上げた。
「ミス・ウエストウッド? いないのですか?」
返事はやはりない。
首を傾げ再度クラスを見渡すも、あの目立つ帽子の姿は何処にも見当たらなかった。
教室にいないことを確認すると、シュヴルーズは名簿に記載されたティファニアの欄に欠席とチェックを付ける。
「どなたかミス・ウエストウッドの欠席の理由を知っている人はいますか?」
シュヴルーズの質問に答えを返すものはいなかった。生徒たちが顔を見合わせざわざわと話を始める。話題は勿論突然の欠席をしたティファニアの事だ。その中には席の一番後ろの指定席に座るベアトリスとその取り巻きの姿もあった。
ベアトリスたちは互いに目を合わせると、「くふふ」とくぐもった笑い声を上げた。
「やっぱり休んだみたいですわねあの子」
「ええ。やっぱり帽子を脱ぐことが出来なかったので来れなかったのでしょう」
「もしかしたら今度は仮面なんて着けて来るんじゃないかしら?」
「そうなったら傑作ね」
ベアトリスたちは意地の悪い笑みを浮かべると、生徒たちにティファニアの欠席理由を知らないかと再度問うシュヴルーズに視線を移した。何度か問いただすも、ティファニアの欠席の理由が誰も知らない事が分かったシュヴルーズは、自分なりにティファニアの欠席理由を想像し、後で様子でも見に行こうと考えながら出欠を再開する。次々と生徒の名前を呼び、それに応える生徒たち。だが、その返事がまたもや不意に止まった。
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