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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
魔術師たちの安寧
終わりゆく陽だまりの日常
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「でもクロガミは、何故ここに来たの?」
「んー、今日は普通に買い物帰り……公園まで来た理由なら、イリヤスフィールが居るような気がしたから、かな」
「あらあら、私を口説いてもしょうがないわよ?」
「ははは、そんなつもりはないぜ。けどしょうがないってことは、故郷に許嫁が居るとか?」

 聞いた話だと本当にお姫様みたいな御身分だし、何よりアインツベルンは1000年の歴史を誇る魔術大家。

 アインツベルン家の情報は倫敦の時計塔にすらほとんどない。
 何らかの理由で懇意にしている、あるいは限られた者としか交流はないのだろう。
 普通の魔術師より厳しい掟に縛られているはずで、自由に外出すら許されない彼女に自由恋愛が認められている訳もない。

 彼女にそういう相手が居るならば、自然と許嫁のようなものかと推測した。

「そんな話だったら素敵ね」
「あ、違うのか。他にそれっぽい理由は思いつかないなぁ」
「そんなに大した理由ではないのだけれど。ご想像にお任せするわ」
「教えてくれないのか?」
「そうね……この聖杯戦争で────もしも貴方が最後まで生き残っていたら、色々と教えてあげる」
「最後の二人になって戦うときに、ってことか?」
「ええ。殺す前に色々お話出来るでしょ? ……そういえばライダーを倒したのよね」

 急に話が聖杯戦争絡みになる。いやもしかしたら、何か意味があるんだろうか。
 それについ昨日の話だというのに、既にライダー脱落を知っていることに驚いた。

 やはり彼女も優秀なマスターである。

 情報収集は欠かさず行っているのだろう。
 先程士郎にも言ったが、情報とはそれほど価値があるものだ。

「これから段々と数は減っていく。当然、マスターの命の保証なんてないわ」

 身を以て知っている。胸に刻み込んである。
 最初の脱落者であるライダー組は、俺がこの手でマスターである慎二を殺めたのだから。
 アイツが正々堂々と敵として立っていたなら、こんな結末にはならなったかもしれない。

 聖杯戦争において、第一に求められるのはサーヴァントの撃破。

 サーヴァント同士の決着がつき、敗北したマスターが潔く負けを認め、それ以上を望まないなら殺す必要はないと思っている。
 敗北したマスターもはぐれサーヴァントと再契約する可能性はあるが、絶対に始末しなければならない決まりはない。

 士郎ほどお人好しなつもりはないが、殺す必要がないなら極力避けるべきだと。
 人を殺す意味、命を奪う重みを理解しているつもりだからこそ、俺はそう考えている。

 だからこそ次にイリヤスフィールが口にした言葉に、異を唱えないわけにはいかなかった。

「だってマスターは殺さなきゃいけないんだもの。サーヴァントを失った
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