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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
魔術師たちの安寧
終わりゆく陽だまりの日常
[5/10]

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─────それ以外与えられなかった少女という印象に変わる。

 無知というわけではなく、愚かというわけでもない。
 ただあの白い少女には、決定的に足りていないものがきっとある。

 なんとなく、そう思った────





「ん……?」

 気が付けば、大判焼きの屋台前だった。
 前回出会ったのは此処だったな。というより尾行されていた。

 思えばあの行動も、やはり不可解なものだったと言える。

 マスターとして魔術師としてではなく、一個人として外出していると言っていた。
 つまりあの時後ろにくっついてきていたのは、単純な興味や好奇心ということだ。

 今回の聖杯戦争に参加するまでは城に篭りっきりの生活。
 教養やら知識も教育係から教えられている……それはつまり、偏りのある知識であることも意味している。

 実際に経験して見ればまた違った印象を抱くモノも多い。
 難しいとは言っていたが、この機会になるべく未知のものに触れて欲しいものだ。

「そういえば、会いたい人がいるって言ってたな」

 個人的に会いたいということは、聖杯戦争関係者だろうか。
 相手がマスターでなければ昼夜関係なく会いに行けるだろうし、昼間に会おうとしていたなら昼でなければ会えない人物ということになる。

 それに聖杯戦争への参加の為に外出しているのなら、この戦いが終わればまた城での生活に逆戻りか。
 彼女にはタイムリミットがある。なら今日もあの子は、その誰かを探し求めてこの辺りを歩いていたりするかもしれない。

「……………………」

 ちょっと寄り道するか。

 思い付きの行動。とりあえず大判焼きを二つ購入。
 万が一を思い後ろを振り返るが、さすがに今日は尾行されてはいなかった。

 受け取った大判焼きを袋に仕舞い、通っていない方の商店街へと歩く。
 まるで迷子になった子供を探すように視線を彷徨わせながら、人通りの多い商店街を抜けていく。

 特に確信があるわけでもないが、少し確率を上げる試みだ。

 最初の出会いは偶然だったが、もしも何かしら縁があるなら、と。
 再会すらも偶然だったなら運命的だが、生憎と運命って言葉は好きじゃない。

 大事なのは自分が行動するかどうかだ。

 その行動すらも運命だと言われれば反論出来ない……けど、ほら。

「…………」

 気まぐれでも何でもいい。用もなく今この場所に来たからこそ。
 こうして公園のブランコに座って、会えない誰かを待ち続けているあの子を見つけた。





「おーい、イリヤスフィール?」
「え、あ……」

 相変わらず人気のない公園。
 閑散としたこの場所に、彼女はやはり不釣合いすぎる。

 無言
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