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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
魔術師たちの安寧
終わりゆく陽だまりの日常
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敵だから憎まなきゃいけない、なんてことはないんだったな。
昨日慎二を手に掛けたことで、少し考え方が偏っていたみたいだ。
敵同士だということに拘る必要はない。こうして普通に出会えば友人で、サーヴァントを引き連れて出会えば戦うだけ。
あるのは聖杯戦争における立場の違いだけで、俺と士郎も凛も、いきなり今までの関係が変わるわけじゃない。
依然として戦えばマスターを倒すという考え方はあるが、敵だから、トドメを刺さなければという固定観念には囚われないようにしよう。
もちろん戦闘では明確に敵だと認識する、トドメを刺すという覚悟を鈍らせず、という前提ありきだが。
俺はいつでもそうして生きてきた。
両親を亡くした事、自身が魔術師である事、曽祖父・友人を手に掛けた事。
短い人生ながら色々あったが、全部割り切ってしまえている。
様々な思考に耽る折、ふと思い出す言葉。
『マスターはね、昼間に戦っちゃダメなんだよ? そんなことも知らないの?』
そう言ったのは、誰だったか。
彼女が言ったその言葉は、実は別の意味も考えられるのではないか。
あの時俺と他愛もないお喋りをしていたのは、割り切った考えだからというわけではないように思う。
マスターは昼間に戦ってはいけない。
なるほど確かに、言葉を額面だけ受け取ればYESと答えよう。
ではなぜ昼間に戦ってはいけないのか?
魔術師としてのルール、一般人を巻き込まない為、サーヴァントの正体が露見しやすい。
答えだけを用意するならこのように幾通りでも理由はある。
きっと実際に聞いてみても、今考えた中の一例か似たことを答える気がする。
彼女は正式なマスターであり、聖杯戦争を始めた魔術大家の一つだ。
もちろん魔術師としての知恵も、聖杯戦争の知識も持ち合わせているだろう。
もしかしたら彼女を教育した誰かに、昼間は戦ってはいけないと教えられたから、単純にそう信じているだけという可能性もある。
だからあの子は突き詰めれば、上辺だけの認識しかないのではないか。
分かりやすい例えならば殺人。善悪の判断としては当然"悪"だ。
これについてはあの子も悪と答えると予想出来る。
だが実際に人を殺すことの意味は?
恐らくこの問いに、あの子は答えらえれないんじゃないか。
あの少女は、割り切っているのとは全く別物なのだと思う。
俺は割り切っているからこそ慎二という友人をこの手に掛けることが出来たし、その後悔を引きずってない。
けれどあの子は、ただ単に
知らない
(
・・・・
)
だけなのでは?
あの子に抱いていた、純粋で無垢な少女だという印象は─
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