第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
21.Jury:『Deep Blue』
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てもらおうか、飾利ちゃん?」
「そ、そうですね。良い結果なら信じて、悪い結果なら信じなきゃ良いんですよね? 何にしても減るもんじゃありませんし」
折角、無料なのだ。気を取り直して飾利に促せば、何だかんだと乗り気である。やはり、いつの時代でも女の子は占い好きなのだろう。
「はいは〜い、まいど〜。じゃあ、この水晶玉に右手を置いて〜?」
「あ、はい! こうですか?」
「大丈夫だから〜、掴むくらいの勢いでいいよ〜?」
飾利が水晶玉に右手を置いたのを確認した後、笑顔のまま――――取り出した、古めかしいランプ。
彼女はそこに向けて指を鳴らして、『焔』を灯した。
「狂える詩人の名に於いて……さぁ、詠み説こうか――――『■■■■』」
「「…………?」」
聞き取れぬ声に、嚆矢と飾利は同時に嘆息する。最早、人間の喉が発した事すら疑念に思う程に。
それは、まるで――――遥か西方の砂の海で。呪われた蟲が夜中に吠えた、鳴き声のようで。本能的な戦慄を禁じ得ない、そんな声が、口許の薄絹の奥から漏れたとは俄には。
「ふ〜む、健康運はまずまず〜。ぶり返すから、あまり無茶はしないように〜。仕事運は……ありゃ、君、近い内に大きな事があるから気をつけなよ〜? 恋愛運……高望みしなきゃ、いい人なんていないよ〜? 世の中、早いもん勝ちだよ〜?」
「そっ、そうなんですか……これは、喜んでいい結果なんでしょうか……」
「まぁ、占いなんてそんなもんさ。良いとこだけ信じて、後は教訓。これも一つの考え方だよ」
良いのか悪いのか判らない結果に、困った顔を見せた飾利。そんな彼女の肩をポンポンと叩き、慰めて。
「あ、それと、マンホールに気を付けた方がいいよ〜? 開運グッズはライター、知り合いの喫煙者にでも借りよう〜」
「マ、マンホールですか……っていうか、知り合いに喫煙者なんて居ませんよぅ……」
がっくりと肩を落とした飾利に、追撃した女。その笑顔が……一度も絶やさない笑顔が、嚆矢を見遣る。
「後、彼氏の方は〜……少しくらい無茶しないと、大事なものは守れないよ〜? 見返したいなら、問題ないように仕事でね〜。やる前から諦めると、一石二鳥なんてないからね〜?」
「……成る程」
「ほえ、こ、嚆矢先輩?」
一瞬、冷や汗を流す。成る程、そうか、と。この女は――――魔術師だ、と。神刻文字で『癒した』首の包帯を解き、飾利を背に庇うように立つ。
何故なら、占いは……嚆矢にとって、馴染みのある魔術だから。『樹術師』である、義母が最も得意とする魔術だから。
「ふぅ〜。それじゃ、迷える子羊も救ったし〜」
立ち上がる姿。遂に、能面のように張
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