第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
21.Jury:『Deep Blue』
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等と、『数少ない例外』である嚆矢は……幻想が今も、世界の片隅に息づいている事を知る彼は、やはり軽く告げて。
「では、好きなだけお時間を潰していてくださいな。行きますわよ、初春」
それが、遂に堪忍袋の緒を切った。黒子は一度嚆矢を睨み――――直ぐに、飾利へと向き直って。
「えっ、あの……少し位ならいいんじゃないですかね? えへへ……」
「……あら、そうですの。ええ、もう勝手になさいな」
取りなそうと心を砕く彼女の言葉に溜め息を吐いた後、何処へともなく空間移動で消えていった。
「う〜ん、凄い既視感だな。何だっけ?」
「『虚空爆破事件』の時と同じ展開じゃないですかぁ……嚆矢先輩、あまり白井さんを怒らせないでくださいよぅ……」
「ハハ、つい、ね。可愛い娘は苛めたくなっちまうんだ」
「小学生ですか、もう……」
ぷぅ、と膨れた飾利を微笑ましく見遣りながら、困ったものだ、と。
消えていった黒子を思う。
――『空間移動能力者』攻略の方法を研究する為には、白井ちゃんの協力は不可欠だ。
何とかして、そのくらいの関係には持っていきたいんだが……ああいう娘は、敵対した方が能力を披露して貰いやすいか? しかも、それが俺に向かうなら言う事無いが……。
回転させる思考。それは、『正体不明』の名残。『もしかすると、攻撃されるかも知れない』と、黒子の空間移動に備えて強度を異能力者から大能力者まで強化した為の、思考の空転。
――恐らく、大能力者でも上から数えた方が早い。暗部でも、あそこまでの能力者は中々居ないだろう。
だから、あの能力は呑み干しておくだけの価値がある。俺の『完成』の為に――――
遥かな昔、『正体不明の怪物』と呼ばれた暗部の掃除機……そして再び夜の町に現れ始めた、黒豹の自我。
渇きに、喉を鳴らす。実に自然に。口角を吊り上げ、鋭い剣牙を剥きながら。この町と同じ、涙子達にも感じた通り、能力開発実験の所為で多少薬品臭いが……先程も思った通り、『見た目なら極上の美少女』なのだから。
「はいは〜い、そこまで〜」
パン、と鳴らされた掌に正気に戻る。慌てて確認したが、飾利には別段、変わりはない。気取られてはいないようだ。
そしてその視線は、自然と飾利も見詰める人物へ。
「それで〜、占うの〜? 今なら、開店記念で君達、無料だよ〜?」
ニコニコと、変わらずに屈託の無い笑顔の女に向けられていた。
「じゃあ、一つ占っ
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