第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
21.Jury:『Deep Blue』
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ジくん。否、『正体不明』くん?」
「今は『対馬 嚆矢』です。その名前は勘弁してくださいよ」
互いに、笑い合う。そこは、闇に生きる者同士の連帯感か。ある意味、彼等は似た者同士だ。
一体、どんなコネクションがあれば『魔導書』や『魔道具』を仕入れられるのか分からない師父に、どんな生き方をすれば『暗部』と『日常』を行き来できるのか分からない弟子。
「それにしても、君はよくよく『魔』を惹き付ける体質のようですね。『輝く捩れ双角錐』の向こうの『邪神』から接触を受けるとは……」
「冗談じゃないっすよ……魔本の次は邪神とか。厄介さのレベルが上がってるじゃないですか」
話を変えた彼の言葉、妙に楽しそうな姿に、げんなりと肩を落とす。薄々そんな事ではないかと覚悟してはいたが、あの悪夢はやはりそうだったのだと。面と向かって言われると、堪えるモノがあった。
「こればかりは、なるようにしか。『妖蛆の秘密』が諦めるまで、正気を失わないように努力するしかありません」
「マジですか?! 二回目でもう、狂い死にそうなくらいだったんですけど!」
遂には頭を抱えてしまった嚆矢、そんな彼を心痛を押さえるような表情で見詰めていた紳士は――――
「――――まあ、冗談ですが」
「ですよね、冗談……へっ?」
クスリと、堪えていた笑いを遂に溢し、聞き捨てのならない事を口走った。
「ええ、『邪神』等と言うモノはこの世には存在しません。魔導書も魔道具も、全ては近代、かの『H・P・ラヴクラフト』や『A・ダーレス』の作り出したフィクションの神話体系を好んだ、『魔術師の一団』によって再現された贋物です」
「あの――――冗談って、冗談ですよね? えっ、じゃあ、あの悪夢は……」
「有り体に言えば、『そう言う副作用がある』魔道具なんですよ、それは。『魔導書が自分達に牙を剥いた時の護符』なんです。なので、世界観を共有する『妖蛆の秘密』は――――牢獄である『輝く捩れ双角錐』を忌避する。そこに潜む『設定』の邪神を。そうなるようにプログラムされているんですよ」
ネタバラしは、極めて静かに。そして、極めて盛大に。もしこれがこの男でなければ、今頃はぶん殴っていたかもしれないと。嚆矢は、グッと怒りを抑えた。
「や――――やってらんねェ……じゃあ、あれは本当にただの『悪夢』!?」
「ええ、深く気にする必要はありません。金と労力、時間の掛からない体験型ホラーシアターだと思っていただければ」
がっくりと、更に肩を落とす。心の底から安堵しながら。あの、魂を苛
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