第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
21.Jury:『Deep Blue』
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何度あろうか、と。
「さぁ、遂に大トリ……海老フライさんだ。三ヶ月と二週間四日ぶりの!」
「なんでそこまで詳細に覚えて……」
割り箸で掲げ持つ、狐色にからっと揚がった海老フライ。中サイズだが曲がっていないところを見るに、きちんと下拵えなされている筈。背腸も抜かれている事だろう。
何より、タルタルソースの香ばしい香りが堪らない。箸の感触もサクッと食欲を誘い、期待が膨らむにも程があった。
「全ての命に感謝して、頂きま――――」
一度、蓋の上に置いて尻尾を掴み直し、どこかの美食家のように祈りを捧げて一気に――――
「いっただきま〜〜す!」
「――――んなッ!??」
「さ、佐天さん?!」
隣から顔を突き出した涙子に、海老フライを一口で奪われた。
「う〜む、衣はサクサク、タルタルの酸味と海老の甘味がユニゾンして……絶品だね、初春!」
「あぁ〜っ! ヒデェよ、佐天ちゃん! 尻尾の中身まで根刮ぎ……どうやったんだよ、いつもそこで手間取るからやり方教えてくれよ!」
嘆く箸先には、文字通り脱け殻と化した海老フライ。周囲はガッツポーズをしたり、溜飲を下げたような顔をする風紀委員達。
対して、元凶である涙子は、タルタルソースの付いた唇をペロリと舐めた。
「何々、初春〜? 遂に実力行使で胃袋を掴みにかかったわけ? ひゅ〜、やるぅ〜」
「ななっ、何を言ってるんですか、佐天さん! ただのお礼ですっ、他意はありませんよっ!」
「またまた〜、何とも思ってない人にお弁当上げるわけないし、何よりいまだに私や白井さんは名字呼びの初春が名前で呼ぶなんて……ねぇ」
「そそっ、それは、その……」
慌てて椅子から立ち上がり、涙子に詰め寄る飾利。だが、当の涙子は全く受け合わない。
制服の裾を翻すと、寧ろ、不敵に笑って攻勢に回っていた。
「って言うか、どうやって此処に入ってきたんだ、佐天ちゃん?」
「え?」
立ち直り、伸びたラーメンを啜り始めた嚆矢が、改めて問う。そう、涙子は『風紀委員』ではない。休憩室とは言え、此所は歴とした公的機関の一室。部外者である涙子が、おいそれと入れるような所ではないのだ。
何処かの能力者達のように『電子機器をハッキング』したり、『誤作動する確率を引き寄せる』事でもしない限りは。
「ああ、それなら『初春の友達です』って言って」
「此処も大概に笊だなあ……」
「って、人の名前を勝手に使わないでくださいよ〜!」
――ここの機密を設定したっていう『守護神』とか言う奴も、人的災害までは防げないらしいな……当たり前だけど。
等と、一番
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