第十六話 出会い
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「ありがとうございます。魔物を止めてくださって」
ゲレゲレを仲間にした後、私たちはカボチ村に行き村長さんに報告した。
村長さんや村の人たちはアベルとゲレゲレが友達だった事に最初はとても驚いていたけど、アベルとゲレゲレがどのようにして出会ってどのようにして別れたのか聞くと、感動の涙を流していた。
「これは少ないと思いますが、礼金の3000Gです。旅の足しにしてください」
「ありがとうございます。大切に使わせてもらいます」
アベルがそう言って、袋を受け取った。
私にはカジノ能力があるからお金は幾らでも稼げるんだけど、それでも路銀が手に入るのは嬉しい。
「では、僕らはこれで」
アベルが村長さんの家から出た。それに私も続く。(魔物たちには馬車とともに、村のすぐ外で待機してもらっている。)
「確かカボチから北に行ったあと東に行けばサラボナだよね」
カボチ村からでた後、私は地図を見ているアベルに聞いた。
「ああ。サラボナは大きな町だというから勇者や天空の装備の情報も手に入るはずだ」
実際は情報どころか、装備そのものが手に入るんだけど、私はこの世界に転生したときに原作知識をあまり使わないようにと決めている。
理由は原作の知識をフルに使ってしまうと『影響』を受けているこの世界が更に歪んでしまう事になるかもしれないのと、『影響』でこれから起こる事がどう違っているのかわからないから原作の知識があてにならないかもしれないから原作で知っていることでも口に出さないし、なるべく行動にも出さない。
「手に入るといいね。勇者の情報」
私はそう呟き、アベルはそれに頷いた。
*
それから数日をかけてカボチ村からやっとサラボナにたどり着いた。
「ここがサラボナか」
アベルが言った。
「結構綺麗な町だね」
ここに関しては記憶のとおりだ。少なくとも『影響』を受けているとは思えない。
「待って!」
私は声がしたほうに目をやると犬が走ってこちらに向かってきていた。
どうやら飼い主から逃げ出したみたい。
アベルの目の前で犬は止まり、アベルが優しく頭を撫でると「くぅーん」と気持ちよさそうな声を出して甘えはじめた。(魔物使いゆえか。)
「リリアンを止めてくださってありがとうございます」
飼い主らしき少女が近づいて頭を下げた。
青い髪に青い瞳。人形のように白い肌。整った顔立ちに綺麗な服。
あれ、この人はもしかして……。
「私はフローラ。この町の町長のルドマンの娘です」
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