第一部 刻の鼓動
第一章 カミーユ・ビダン
第三節 月陰 第二話 (通算第12話)
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は当然だった。
「ま、ソロモン戦やア・バオア・クー戦みたいにビーム攪乱幕を張るんならモビルスーツよりは有効だろうけどさ」
これは《パブリク》のことだ。ソロモン戦でもア・バオア・クー戦でも、モビルスーツは戦場の主役たりえなかった。モビルスーツは艦隊戦を制するための機動兵器であり、要塞防御や要塞攻撃には不向きだったからである。事実、一年戦争最後の戦いと呼ばれるア・バオア・クーで活躍したのはモビルスーツではなく、艦載機でもなく、宇宙突撃艇《パブリク》であった。《パブリク》のパイロットたちは、命を的に突撃を繰り返し、ビーム攪乱幕によって要塞砲を封じ込めたのだ。
接収した〈ソロモン〉を〈コンペイトウ〉と改名し、自らの拠点とした第二連合宇宙艦隊は、残存艦艇を再編成するため、終結ポイントへの合流が遅れることとなった。このことが、第二連合宇宙艦隊の残存艦艇を〈コロニーレーザー〉の光から救うこととなった。先行していたレビル大将率いる第一連合宇宙艦隊は直撃を受け、レビル大将が座乗する旗艦マゼラン級宇宙戦艦《フェーベ》以下実に半数近くにもおよぶ戦力を失ったのである。この中に、和平交渉を持ちかけようと投降してきたデギン公王の座乗艦グワジン級大型戦艦《グレートデギン》もあった。
この二つの戦いで、地球連邦軍は、艦艇数こそ多いものの、ジオン公国軍を圧倒するだけの兵力を保持しえなかった。通常、攻城戦や要塞戦は守備兵力の三倍から五倍を最低限必要とするとされる。しかし、両連合艦隊の残存兵力はア・バオア・クー守備隊を上回る程度であった。
「でもさ、よく勝てたよな?」
「レビル元帥のお導き……ってか?ベーダー大将じゃないんだから」
残存艦艇にはレビル大将の同期であった、第六宇宙艦隊司令官ダグラス・ベーダー中将がいた。闘将と渾名される将官であり、レビル将軍の弔い合戦であると星一号作戦の継続を声高に叫び、残存艦艇をまとめると十二月三十一日ア・バオア・クー宙域に突進した。命令はたった一つ「全艦突撃」のみであったという。
ギレン・ザビ総帥とキシリア・ザビ中将の確執によって、ギレン・ザビ総帥が暗殺され、司令部に動揺が走る。その一瞬、命令系統に混乱が生じた間隙を突いて、要であったドロス級大型機動母艦《ドロス》、《ドロワ》を撃沈させ、地球連邦軍は宙域を制圧した。その機を逃さずベーダー中将は旗艦《ヒペリオン》を着底させ味方の血路を拓いて、上陸作戦を展開させる。これを受けて乱戦のうちに離脱を試みたキシリア・ザビ中将が戦死した後、ア・バオア・クーは要塞としての機能を停止、残存艦艇は撤退を開始する。司令部からの任意撤退命令であった。だが、司令部が降伏してもなお、要塞内部における白兵戦は終わりをみせようとはしなかった。
司令部降伏の六時間後、未だ戦火の止まぬ中、ダルシア・バハロ首相により招
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