第十九話 形見
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しばらくして、少しだけ気持ちの整理がついたゼロは近くに落ちている彼女のヘッドパーツを回収するとルインの元に向かう。
冷たい床に横たわる彼女の隣に置き、彼女の顔を見つめる。
彼女の顔には血が残っている。
思わずゼロは彼女の頬に触れてみた。
彼の掌に血が馴染んで落ちた。
思わず無心にその赤い汚れを綺麗になるまで拭い、血の移った手を見つめる。
少し間を置いた後、顔にかかった髪を、几帳面にも掻き上げて整える。
エックス「守るって…彼女は俺が守るって誓ったのに…!!なのに守れなかった…っ!!」
エックスの嗚咽が混じった声にゼロも悲しげにルインを見つめると、ヘッドパーツを彼女に被せた。
そしてエックスの肩に手を置く。
ゼロ「エックス、まだ希望はある。ケインの爺だ。爺ならルインを救えるかもしれん」
エックス「ケイン博士…?」
涙で濡れた顔をゼロに向けるエックス。
ゼロ「確かに彼女は機能停止したが、両腕を失った以外、身体は原形を留めている。レプリロイドの核でもある頭脳チップも無傷である可能性もある…可能性はゼロじゃない。諦めるなエックス。彼女の分まで俺達が戦うんだ。シグマを倒し、彼女が望んだ“優しくて暖かい平和な世界”を創るためにもな」
エックス「…うん、そして彼女を“優しくて暖かい平和な世界”に連れていくためにも…シグマを倒さないと……」
エックスはルインの武器を回収する。
奇跡的に武器は何の損傷もない。
エックス「これは、借りていくよルイン…一緒にシグマと戦おう」
彼女の武器を握り締めるエックス。
彼女の魂が宿った武器を手にしてエックスはシグマと戦う決意をする。
ゼロは簡易転送装置でルインを転送する。
座標はケイン博士のラボ。
簡単なメッセージをつけて彼女を転送した。
ゼロ自身ああは言ったものの、彼女が助かる可能性は限りなく低いと分かっている。
例え頭脳チップが無事だとしても助かったレプリロイドはいないのだ。
ゼロの常に明晰な理性は、ルインは助からないのではないかと呟く。
だが……。
ゼロは初めて……。
恐らく起動してから初めて、神に祈りたい気持ちになった。
もし彼女が助からなかったらケインや上から目線の気に入らない上層部に頭を下げてでも彼女の墓を作ってやりたいと思った。
ハッキリ言ってゼロは信心深くない。
エックスとは違い、死者の魂が天に還るなどという人間達の言葉など頭から否定していた方だ。
だからこそ墓標などと言うものに価値など見出す事など出来なかった。
深刻な人口増加により更なる居住の地を求めるようになった現在でも不足した土地を死人のために使う行為がゼロには理解出来なかった。
死者を弔い魂を鎮める…。
親しき者を失った人間達が繰
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