第十九話 形見
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スパイラルクラッシュバスターの一撃によって貫かれた壁を見つめていたエックスはゼロを装置から解放させると急いでルインの元に向かう。
まだ彼女の動力炉は動いている。
彼女はまだ生きている。
しかしそれはもう時間の問題だとエックスとゼロも理解していた。
エックス「ルイン!!」
ゼロ「しっかりしろルイン!!」
エックスはルインを抱き寄せ、ゼロと共にルインに呼び掛ける。
ルインは弱々しい目でエックスとゼロを見遣ると笑みを浮かべた。
ルイン「やったね…エックス…VAVAを倒し…たん、だ…やっぱ、り…強いよエッ、クスは…」
エックス「違う、俺は強くなんかない!!俺はいつも君に助けられてばかりだ…」
ゼロ「…………」
涙を流す親友を見てゼロは涙を流せない自分に憤りを感じた。
涙を流す機能がついていないゼロはこの悲しい想いを表面に出すことが出来ない。
ルイン「泣か、ない…で…エックス…」
エックスの涙を拭おうとしたが両腕がないことを思い出し、自嘲する。
ルイン「何か…凄く眠、い…や……」
自身の動力炉が活動を停止しかけているのが分かる。
眠気に似た何かが自分を襲う。
視界にノイズが走り、エックスとゼロの顔が分からなくなっていく。
エックス「ルイン!!」
機能停止しかけている彼女を揺すり、少しでも機能停止を遅らせようと、彼女を生き長らえさせようとしている。
それでも動力炉は活動を停止していく。
もう視界はノイズによってエックスとゼロの顔すら分からない。
それでも彼女は口を開いた。
最期の言葉を。
ルイン「エッ、ク…ス…ゼ…ロ…」
エックス「!?」
ゼロ「…………」
ルイン「わ、た…しのさ…いごのおね、が…い…き、いて…くれ、る…?」
エックス「最期って…」
ゼロ「何だ?」
エックスの言葉を遮ってゼロが尋ねる。
その気遣いを嬉しく感じながらルインは必死に言葉を紡ぐ。
ルイン「つれ、てっ…て…エック…スとゼ、ロが…2人がつく、る…や…さ、しく…て…暖かい…平和な…せ、かい…に…」
そう言うと彼女の動力炉は活動を終え、彼女は機能停止した。
エックス「ルイン!!ルイン!!目を、目を開けてくれ!!ルイン!!」
必死に彼女の名前を呼ぶが彼女の動力炉は活動を停止し、身体の機能は完全に停止しているのだ。
どんなに名前を呼んでも彼女の目は開かない。
エックス「ぐっ…くぅう…うわあああああああああ!!!!!!!!」
動かない彼女を抱き締めながら泣き叫ぶエックスにゼロも沈痛そうな表情でルインを見つめる。
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