第十二話 幼児期K
[1/8]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「あぁ! リニス、俺の肉取るなァー!!」
「はふにゃー」
「リニスすごく幸せそうだね」
『そしてものすごくいいドヤ顔ですね』
「……はしたないからやめなさい」
俺の育てていたお肉を奪った泥棒猫を裸足で追っかけていたら、陽気とは決して言えない母さんの声で止められました。やはり食事中に立ち歩くのは行儀が悪かったか。俺とリニスの2人で、母さん達にごめんなさいと謝り、もう一度席についた。ぺこん、と頭が垂れていたリニスがかわいかったです。
『ますたーもなんだかんだで、リニスさんに甘いですよね』
「んー、まぁ俺って猫好きだし。リニスはきっとツンデレなんだと信じてるから」
『無駄にポジティブなところがありますよね』
「希望ぐらい持たせろよ」
そう言って俺は箸を手に持ち、鍋の中でグツグツ焼きあがった新しいすき焼きの肉をつかむ。せっかく大事に育ててきたのになー。まったく。
リニスはもともと野山猫だったからかお肉とかは好きらしい。野菜も食べているが。さすがにネギとか塩分の多いものを食べさせてはいけないため、そういうのは気を付けている。俺は溶き卵にくぐらせる食べ方が好きなんだけど、猫に卵はあまりよくねぇんだっけ。いや、加熱したら食えたんだったか? あいまいだ。
「……猫って意外にいろいろ食ってるイメージがあったしな」
「ねこさんいろいろ食べられるの?」
「あぁーいや、俺が知ってる猫は鶏肉やチーズを見ると、歓喜の鳴き声をあげながら飼い主さえ襲いかかって奪うようなやつだったから」
『……猫って一体』
まぁ、ほんとなんだかんだでかわいいんだよ。猫は。
「ほら、リニス。もうすぐ出来上がるからね」
「にゃー!」
母さんが鍋からお肉を1つ取り出し、リニスのお皿の上に乗せている。猫舌のリニスは当然冷めるのを待ち、じっとお肉を見つめている。そして少し冷めてきたお肉に向かって、きらきらした目をしながら、大きく口を開いた。
そして、それに勢いよくかぶりついた。
「あ、冷めててもうまいな」
転移した俺が。
「…………」
「ふははは、油断大敵だぜリニス! 獲物に食らいつく瞬間が一番の隙だと、某漫画でも言っていたからな!」
「…………」
「いくら俺でも食べ物の恨みは恐ろしいんだぞ! さて、すっきりしたし、これでお互いにおあいこだ…」
「……ふ、ふしゃぁぁああああぁぁ!!!」
「なぁ、……!!!」
『……あのマイスター、今度は止めなくていいのですか?』
「おいしいわね、アリシア」
「うん!」
『わぁ、平和だ』
後で母さんに、俺とリニスはこってり怒られました。
「「『ハッピーバースデイ!!』」」
「にゃーん!」
晩御飯のすき焼きを食べ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ