第十二話 幼児期K
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けど。
「それでも、わたしはそんなお兄ちゃんがいてくれて、うれしいです」
「…………」
「たくさん笑顔をくれます。たくさんわがままをきいてくれます。さびしい時は、いつも一緒にいてくれます」
アリシアは一歩前に、俺の目の前に進みでる。金の髪が夜風になびき、それがふわりと舞う。この星空に負けないぐらいきれいで、輝く笑顔。
あぁ、そうだ。そうだった。
罪悪感? そんなのいくらだってある。なんせ、俺の都合で俺の思いで、なのはさん達の未来を変えてしまうんだから。幸せな、たくさんのハッピーエンドを壊してしまうんだから。
それでも、俺は守りたいと思ったんだ。たった1つのハッピーエンドを、この少女の笑顔を守りたいと思った。だから、俺は今まで行動して来たんだ。
受け入れなきゃだめなんだ。未来を受け入れて、そこからちゃんと前を向いて歩かなきゃいけない。下ばかり向いて、怖がっていたら本当に俺は……。
「そんなお兄ちゃんのことが、わたしは本当に大好きです!」
アリシアのお兄ちゃんとして、情けねぇじゃん。
「えへへ、びっくりしたでしょ? 私だって1人でお手紙書けるんだよ!」
「うん、ほんと。……びっくりした」
「やった! サプライズ大成功!!」
「うわぁ、やられた!」
俺の反応にまた嬉しそうにする妹。俺はアリシアからもらった手紙を握りながら、くるりと背を向けた。そんな俺の行動に疑問を持ったみたいだが、それよりも先に俺は口を開いた。
「そうだ、アリシア。アリシアって今よりももっときれいな星空って見たことあるか?」
「えっ、今よりも?」
そう言って妹は、空を仰ぎ星の海に目を向ける。子どもの俺たちが夜遅く出歩くのはまずいため、家以外で夜を過ごしたことがない。幼い頃はクラナガンに暮らしていたが、あそこは今よりも明るかったから、星空なんてなかなか見れなかった。妹は見たことないよ、と俺に告げてくる。
「実は明かりが全くないところで見る星空ってすごいらしい。まるで星の中を歩いているみたいにきれいできらきらしてるんだって」
「きれいできらきら…」
地球とはちがったいろんな星が見えるんだろうな。もしかしたら、他とは違うものが見えるかもしれない。
あと、俺はようやく目からこぼれていたものが収まったため、アリシアに再度向き合う。意地っ張り? そんなのとっくに自覚済みだ。見られないために咄嗟に話をしちゃったが、なかなかいいかもしれない。よし、決めた。
「さっきのお手紙のお礼。大きくなったら一緒に見に行かないか?」
「大きくなったら?」
「そう。もっともっときれいな星空をさ」
絶対きれいだぜ、ともう一声かけると、アリシアは何度もうなずいてみせ
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