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少女1人>リリカルマジカル
第十二話 幼児期K
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イズ!」
「おぉ、そうだった」

 妹にむー、と怒られた。俺には話を迷走させまくって、最後には混沌で話を終わらせる時があるらしい。悪かったって。しかし、サプライズね…。

 俺がなんだろう、と考えを巡らせていると、妹はポケットの中から手紙を1枚取り出していた。母さんにあげた手紙と同じ便箋。しかし、俺には記憶にないものだ。俺が知らない間に書いていたということだろう。

 俺の驚きをよそに、アリシアは手紙を広げる。いたずらが成功した、というようなそんな嬉しそうな顔だった。


「わたしのお兄ちゃん!」

 それは、妹が兄に書いた1通の手紙。

「わたしのお兄ちゃんは、アルヴィン・テスタロッサと言います」

 本来は存在しなかった兄。本来なら書かれることはなかった手紙。

「お兄ちゃんはいつもわたしと遊んでくれます。転移を使って、山で虫取りをしました。砂浜でお城を作りました。雪で雪合戦をしました。ビルの上で風を感じました」

 俺は知っていた。アリシアがいつも1人ぼっちで遊んでいたのを。リニスと一緒にただ待つことしかできなかった幼い少女を知っていたから。だから、外を見せてあげたかった。


「お兄ちゃんはいろんなことを知っているし、教えてくれます。コーラルと一緒に文字も言葉も教えてくれました。たくさん書けるようになりました。リニスとのけっとーもすごくメラメラしています。家はとてもにぎやかです」

 笑っていてほしい。その気持ちが一緒に過ごすにつれ、どんどん溢れていたのはわかっていた。

 最初にこの世界に来た時は、俺の状況に気がついた時は、ずっと悩んだ。だけど、いつのまにか俺の心は、選択は当たり前のように答えを出していた。

「お兄ちゃんはすごく心配してくれます。お外に行くと、いつも手をにぎってくれます。お風呂でもわたしがこけちゃったときは助けてくれました」

 答えを出しても、俺は結局迷っていた。いや、答えはすでに決まっているのに、その答えの先を想像するのが、覚悟するのが怖かったんだ。ただ、今は目の前のことだけに集中したい。集中するべきだと、未来を考えないでいた。

 少女を、アリシア・テスタロッサを助ける。家族を助ける。それだけをずっと考えてきた。それ以外を考えるのが、いやだったから。


「わたしのお兄ちゃんは、ちょっといじわるなところもあるけど、優しいです」

 俺は優しくなんてない。俺自身、かなり自分勝手でマイペースな人間だと思っている。というか、かなり自由気ままだった気がする。

「勉強があんまり好きじゃなくて、リニスにいつも負けていて、お母さんに怒られているお兄ちゃんです」

 ちょっとグサッときました。うん、俺あんまりいいお兄ちゃんじゃないな。反面教師にはなれそうだ
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