第十二話 幼児期K
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限り大きな声で手紙を読んだ。
「「わたしたちのお母さん!」」
アリシアやみんなと一緒に書いた、1通の手紙。
「わたしのお母さんはプレシア・テスタロッサと言います」
「母さんは技術開発局の会社に勤める技術者です」
コーラルもリニスも静かに俺たちの朗読を聞いている。この日のために俺たちに付き合ってくれた。アリシアもあがることなく、すらすらと読んでいく。
「お母さんは開発チームのリーダーで、チームのみんなもすごくなかよしです」
「時々飲み会があったときは、同僚さんがみんなを物理的にも潰しに回り、母さんが雷で暴走を止めたこともありました。同僚さんの絡みから、なんとか無事に生還した強者さんに胃薬をあげたり、リーダーとして大変です」
ちなみにたまに母さんも、同僚さんと一緒にお酒に呑まれる時がある。その時の開発チームのみんなの顔は絶望に包まれるらしい。強者さんがその時のことに涙を流しながら、胃薬をがぶ飲みしていた姿を見たことがある。頑張れ。
「お母さんはいつもいそがしいけど、だけどすごく優しいです」
「俺とアリシアが『愛と勇気と…』と前振りを母さんの前ですると、必ず『き、希望?』と返してくれます」
母さんの頬が赤く染まった。恥ずかしそうにしながらも、合いの手をちゃんと入れてくれる母さんです。
「毎日つくってくれるごはんはいつもおいしいし、みんなで寝る時はぽわぽわした気持ちになります」
「ちなみに母さんのご飯にはしいたけが出てきません。時々もらいものの中に入っていると、何とも言えない顔で食べています。好き嫌いを見せないように頑張る、努力家な母さんです」
母さんの頬がさらに真っ赤になった。もちろんしいたけのことは褒めていますから。
「今年の誕生日はみんなでピクニックに出掛けました」
「いつも忙しいのに、こういう記念日は1日中一緒にいてくれます。すごくうれしいし、楽しいです。でも、仕事で無茶していないか心配してしまう時もありました」
リニスが家族になった日。母さんの足にすりすりと身体を寄せながら、リニスも肯定するように鳴いた。
「お母さんと一緒にいると、楽しくて、うれしくて」
「温かくて、俺たちにとって誰よりも大切な人で」
今までにも何回か伝えたことのある言葉。それでも、改めて言います。他でもないこの気持ちが真っ直ぐに届いてほしいから。
「「そんなお母さんがわたしたちは大好きです!」」
母さんが小さく息をのむ。それでも朱に染まった顔を背けることなく、俺たちを真っ直ぐに見据えてくれる。
「お母さんに大好きって言うと、いつもちょっと照れますが、だけどあとで『ぎゅっ』てしてくれます」
「母さんにありがとうって言うと、いつも優しく目を細めて、俺
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