暁 〜小説投稿サイト〜
少女1人>リリカルマジカル
第十二話 幼児期K
[4/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
限り大きな声で手紙を読んだ。


「「わたしたちのお母さん!」」

 アリシアやみんなと一緒に書いた、1通の手紙。

「わたしのお母さんはプレシア・テスタロッサと言います」
「母さんは技術開発局の会社に勤める技術者です」

 コーラルもリニスも静かに俺たちの朗読を聞いている。この日のために俺たちに付き合ってくれた。アリシアもあがることなく、すらすらと読んでいく。

「お母さんは開発チームのリーダーで、チームのみんなもすごくなかよしです」
「時々飲み会があったときは、同僚さんがみんなを物理的にも潰しに回り、母さんが雷で暴走を止めたこともありました。同僚さんの絡みから、なんとか無事に生還した強者さんに胃薬をあげたり、リーダーとして大変です」

 ちなみにたまに母さんも、同僚さんと一緒にお酒に呑まれる時がある。その時の開発チームのみんなの顔は絶望に包まれるらしい。強者さんがその時のことに涙を流しながら、胃薬をがぶ飲みしていた姿を見たことがある。頑張れ。

「お母さんはいつもいそがしいけど、だけどすごく優しいです」
「俺とアリシアが『愛と勇気と…』と前振りを母さんの前ですると、必ず『き、希望?』と返してくれます」

 母さんの頬が赤く染まった。恥ずかしそうにしながらも、合いの手をちゃんと入れてくれる母さんです。

「毎日つくってくれるごはんはいつもおいしいし、みんなで寝る時はぽわぽわした気持ちになります」
「ちなみに母さんのご飯にはしいたけが出てきません。時々もらいものの中に入っていると、何とも言えない顔で食べています。好き嫌いを見せないように頑張る、努力家な母さんです」

 母さんの頬がさらに真っ赤になった。もちろんしいたけのことは褒めていますから。


「今年の誕生日はみんなでピクニックに出掛けました」
「いつも忙しいのに、こういう記念日は1日中一緒にいてくれます。すごくうれしいし、楽しいです。でも、仕事で無茶していないか心配してしまう時もありました」

 リニスが家族になった日。母さんの足にすりすりと身体を寄せながら、リニスも肯定するように鳴いた。

「お母さんと一緒にいると、楽しくて、うれしくて」
「温かくて、俺たちにとって誰よりも大切な人で」

 今までにも何回か伝えたことのある言葉。それでも、改めて言います。他でもないこの気持ちが真っ直ぐに届いてほしいから。


「「そんなお母さんがわたしたちは大好きです!」」

 母さんが小さく息をのむ。それでも朱に染まった顔を背けることなく、俺たちを真っ直ぐに見据えてくれる。

「お母さんに大好きって言うと、いつもちょっと照れますが、だけどあとで『ぎゅっ』てしてくれます」
「母さんにありがとうって言うと、いつも優しく目を細めて、俺
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ