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クズノハ提督録
クズノハ提督応接
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か持ってみたいな、やっぱり」





授業が終わり、例の如く鎮守府への道を辿る。葛葉は、昨日一昨日と玄関の前に佇んでいた少女を思い返していた。今日もまた居るだろうか。今日こそは雷と電に会わせてやれるだろうか。茜色に染まる道の中、葛葉は少しだけ上機嫌で歩いていた。
今日も鎮守府の玄関前に人が立っていた。しかし、それは少女などではなかった。
「あの、ここに何か御用ですか?」
「ん? ああ、君がここの指揮を執っている葛葉提督かな?」
背丈は葛葉よりも少し高めの180cm程で、男らしいがっしりとした体型でシワ一つ無い綺麗な黒いスーツに身を包んでいる。髪は黒く前髪を6:4くらいで分けた様な髪型。全体的に爽やかな印象を受ける30代前半といった見た目で、少女とは似ても似つかぬ男がそこにいた。
「私はこういうものだ」
そういって男は一枚の名刺を差し出した。
「大日本帝国式日本国海軍特別運営鎮守府……倉岡?」
「『倉岡(くらおか)』だ、以後よろしく。皆は縮めて大本営、なんて呼んでいたりするよ。」
「だいほんえい……」
どこかで聞き覚えのある名前に首をかしげながら、葛葉は倉岡と名乗った涼しげな印象の男を見上げた。
「すみません、名刺がまだできていなくて……」
「新人だものね。仕方が無いよ」
倉岡は爽やかな笑みを浮かべた後、少しだけ真剣な表情で葛葉に問う。
「さて本題に入ろうか。配布された初期資材が明らかに足りなかった……という報告を受けて来たのだけど、よければ工廠を拝見させていただいてもいいかな?」
そう言われて葛葉はようやく思い出したとばかりに顔を明るくして答えた。
「ああ、はい! 勿論ですよ。どうぞどうぞ」
葛葉は玄関の扉を開けて早速倉岡を招き、工廠へと案内した。





「知らない人なのです」
「着いて行っちゃダメよ、電?」
「行かないのです……」
一方、雷と電はというと倉岡と葛葉が工廠へ向かう様子を物陰から覗いていた。
葛葉が玄関の前へ来た頃二人は扉の前で待機していたのだが、扉の外からの聞きなれぬ声を警戒し近くにあった観葉植物の影に隠れて様子を伺っている。
「あ、工廠に入ったのです!」
「追うわよ電、突撃ーっ!」
声を潜めながらも勢い良く、お揃いの茶色い髪の小さな艦娘二人は工廠前の観葉植物へ突撃していった。





ーー工廠内。
葛葉に連れられて工廠へと辿り着いた倉岡は、工廠内で出番が無く待機していた妖精さん達を集めて話を始めた。本当に最初から資材が無かったかの確認であるようだ。
「わざわざ現場の鎮守府工廠まで足を運ぶなんて随分厳重だな……」
葛葉は倉岡に聞こえぬよう、
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