ターン9 ノース校と選ばれし戦士(中)
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「これより、5分間の休憩に入りますノーネ。選手の皆さんは次の試合の準備を、観客の皆さんもトイレは混まないうちに行っておくことをお勧めしますーノ」
クロノス先生のアナウンスが響く中、何気なくノース校側を見てみる。初戦は剣山が勝ってくれたけど、裏を返せば余裕のなくなったあっちはこれまで以上に本気でかかってくるということ。とはいえ次峰は葵ちゃん、あんまり心配はしていない。3番手は夢想だし、こりゃ下手すると僕の出番ないまま終わったりして。どれほどギスギスした空気になっているかと野次馬根性全開でのぞいてみると、意外にもそこには向こうの次峰、天田しかいなかった。そのままじっと見ていると、向こうも僕の視線に気が付いて近寄ってきた。
「……何か、用か」
「あ、いや別に。ね、他のみんなどこ行ったの?」
わざわざ聞くほどのことでもないだろうけど、せっかく会話してくれてるんだからやっぱり聞いておきたい。天田は軽く肩をすくめ、若干呆れたようなポーズをとった。
「……サンダーに会いに行くんだと。で、俺も行きたかったんだけど、別にサンダーとは試合の後でも会えるし、どちらかというと次の試合で勝つことをまず考えないといけないしな」
「なるほどねー。でも、うちの葵ちゃんも強いからね?」
「……だろうな。なにせ、去年サンダーとあそこまでの勝負をした男の選んだメンバーだからな、こちらも警戒ぐらいはするさ」
そう言ってもらうのは嬉しい。随分僕も偉くなったものだ。ちょっと気を良くしていると、辺りをきょろきょろと警戒するように見回した天田が、誰にも見られないように自分の体で隠しながら僕になにかケースのようなものを押し付けてきた。依然として周りを警戒しつつ、声を低くして僕に話しかける。
「……話は変わるが、何も言わずにこれを受け取ってくれ。頼む」
「え?え、あーうん」
まったく意味が分からないが、もらえるものはもらっておこう。あーでも、億に一つどころか兆に一つでラブレターとかだったらどうしよ。僕にはもう好きな人がいるし、そもそもそういった趣味はありませんってはっきり断ったほうがいいんじゃなかろうか。
「……頼む。本当はサンダーに渡したかったんだが、サンダーが光の結社に入っていたとあっては渡しづらいんだ」
何を考えているのかはわからないけど、とても真剣な天田の目を見る。ふうむ、これは素直に受け取っておいた方が面白そうだ。何かはわからないけど、いつかこのケースの中身が役に立つ。そんな気がする。
「……誰もいない場所で、誰にも見られないように開封してくれ。使い方はお前に任せるが、できれば最終的にはサンダーに渡してほしい」
「あいよ、よくわかんないけど頼まれたよ。でも、このことって鎧田たちは」
「……あいつらは何も知ら
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