暁 〜小説投稿サイト〜
真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
拠点フェイズ 4
拠点フェイズ 北郷盾二
[10/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
「っ………………うん」
「恩義に……報いることが、できた、かな……?」
「ごしゅ、ご主人……様?」

 桃香の顔色が変わる。
 俺が言いたいこと、気づいたようだ……

「えっと……も、もちろんだよ? けど……」
「……馬正を殺した唐周を、覚えている?」
「えっ……?」
「やっと……やっと見つけたよ。一年、かかった。今も細作が、奴を見張っている」
「馬正さんの……仇が!?」

 ……仇、か。
 そうだ。やつは……馬正の仇だ。

「場所は!? すぐに捕らえに行こう!? 馬正さんの前で……みんなの前で謝ってもらうの! あの時の……あのひどいことを!」
「………………」
「ご主人様!?」

 でも桃香……君だけは、その言葉を使っちゃいけない。
 君は……劉備玄徳。
 大陸の誰よりも……人徳あふれる人なのだから。

「……唐周は、俺が殺す」
「……っ!?」
「それが俺の為でもあり……馬正の為でもあり、唐周の為でもある」
「えっ……?」
「恨みは……連鎖する。どこかで断ち切らなきゃならない」
「けっ……けど、ご主人様、今『殺す』って……」
「ああ……だから、俺で終わりにする。ちょうど、俺は役目を終えたし、な」
「えっ……えっ……? どういう……」

 俺は空を見上げた。
 天頂にかかる月が、眩しい。

 こんなに闇を照らす月も、陽が昇れば翳ってしまうのだ。
 夜明けが来れば、闇は消えるのが道理。

 光が目覚めれば、影は……

「これは、馬正の主である俺の……やるべきことだから」
「っ…………で、でも、ご主人様、役目っ……て」
「俺の後は、一刀に託す」
「………………っ!」
「俺は……唐周を殺した後、この地を去るつもりだ」
「そんなっ!?」

 桃香が青い顔で俺の腕にしがみついた。

「嫌だよ! ご主人様がいなくなるなんて、嫌だよ! 私を、護ってくれるって……」
「……その役目は、その誓いは……果たせた、よな」
「…………っ!? なんで!? 私、なにか悪いことした!? 私、改めるよ! 悪いところ、何でも言ってよ!」
「違う……違うんだ、桃香。そうじゃない……」

 俺は縋り付いてくる桃香を見る。
 まるで幼子だ。
 目に涙を浮かべ、母と離れたがらないような……そんな瞳。

「この梁州は、州牧は……誰だ?」
「えっ……!?」
「本来、州牧が州の最高権力者だ。だが、この梁州で最も力を持つのは誰だ?」
「あっ……け、けど……だって……」
「民が、この人の元なら大丈夫だって言える、その人物の名前は……………………誰だ」
「…………………………」

 ずっと……ずっとだ。
 俺は、この日が来るのがわかっていた。

「今のままじゃ、遠からず梁州は
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ