拠点フェイズ 4
拠点フェイズ 北郷盾二
[8/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
諸国の諜報もある……人出があまり割けない。
時間がかかるかもしれない。
今すぐ行って、殺したい。
アイツは殺さなきゃならない。
馬正のためにも……俺のためにも。
一刀が目覚めた以上、俺の存在価値はもうないのだから。
―― other side ――
「――――ですね」
「ああ……」
「ひっく……ぐじゅっ……ひぐっ……」
「お帰りを……――――、いいですか?」
「………………ダメだ。もう、俺は――――――じゃない」
「っ……っく、っ……」
「ぐじゅっ、ひぐっ、ひっく……」
「もう――――は――――――だ」
「…………って、です。貴方は………………私達は………………」
「そ、でっすっ、ぐじゅ、わた、わだし、わだじ、わっ……」
「……………………」
「………………っ、――――――も、くれないんです、か……?」
「ひぐっ、くっ、じゅっ、くっ……」
「……………………行って、くる」
扉が開き、扉が……閉じられた。
後に残るは、小さな嗚咽と、
「っ………………なん、で………………」
小さな、呟き。
―― 盾二 side 漢中近郊 夜 ――
俺は一人、共同墓地に来ている。
そこに建てた慰霊碑に華を添え、手を合わせた。
しばらく無言で祈る。
安らかに眠るように。
命を駒にしたことを、詫びるように。
俺の命を守ってくれた感謝を捧げるように――
どれだけ祈ったことだろう。
雲の隙間から、月が俺の頭上まで来ている。
月の光が、周囲を淡く映し出す。
気がつけば、人の気配がした。
どうやら来たようだ……
「……ご主人様、いるの?」
桃香の声。
月明かりの中、慰霊碑へと歩いてくる。
俺は立ち上がり、振り向いた。
「桃香……呼び出してすまないな」
「あ、ご主人様!」
俺に気づいた桃香の顔が、ぱぁっと明るくなる。
そのまま俺の元へと駆け寄ってきた。
「こんな夜中に……どうしたの? 話なら別にお部屋でも、その……」
「………………」
俺は空を見上げる。
月の光が、雲の隙間から辺りを照らしている。
その光に照らされた桃香を、改めて見た。
「……綺麗だな」
「え? あ、え? あ、えと……あ、つ、月ね。うん、き、綺麗だよね」
桃香は少し慌てたように空を見上げる。
その言葉に、俺は目を閉じ、少し笑みを浮かべた。
「桃香には……話しておこうと思って」
「え? えと……何を?」
「俺の……いや、今後のことを、な」
「えっ………………?」
俺はその場に用意していた布を広げた。
そし
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ