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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
拠点フェイズ 4
拠点フェイズ 北郷盾二
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きゃならないな。

 と、そろそろ会議なので、ここで〆ておく。




  ―― 盾二 side ――




 ああ、まただ。
 またこの夢を見ている。

 周囲は血の海。
 倒れている大勢の民。
 燃える漢中の街。

 その中で、一人の男が子供を、女性を、老人を殺していく。

 またこの夢だ。
 その男は、手に持った『刀』で周囲を殺しまくる。
 それに向かっていく愛紗、鈴々、星。

 だが、それすら瞬く間に殺していく。
 首を刈り、四肢を千切り、その血を飲むようにして。

 横たわる死骸が、妙にリアルだ。
 転がってくる愛紗の顔は、涙で濡れていた。

 そして。
 その男は無抵抗で膝をつく朱里を、雛里を殺す。
 死んだはずの馬正が、そいつに何かを叫んでいる。
 だが、その首すら虫を払うかのように跳ね飛ばした。

 漢中が燃える。
 みんなの努力の結晶が、燃えてゆく。

 そして……
 その男は、その場で助けを求める少女を掴む。
 服を破り、胸をしゃぶり、強引に股を開かせる。

 少女は泣き叫びながらこちらを見る。
 その目が、言葉より雄弁に叫んでいる。

 タスケテ……と。

 だが、俺は動けない。
 何もできない。
 これは夢だ。

 ずっと、何度も見てきた夢。

 燃え盛る漢中を背景に。
 おびただしい死体の山の中で。

 少女は……次第に小さく嗚咽をこぼすだけとなり。
 男は……ただ腰を振る。

 そんな光景が、ずっと続く。

 しばらくして、男が立ち上がるのを見て、俺はようやく夢の終わりに気づく。
 いつも、ここで終わるんだ。

 その少女――『桃香』は目を見開いたまま、事切れていて。
 その男――『一刀』が、俺に邪悪な笑みを浮かべる最後で。



  * * * * *



「――っはあっ! ハッ、はぁっ、はっ……ひはっ……ぐっ……おえええええええええええええええええっ!」

 俺はいつものごとく、寝台のそばに用意させた壺の中に、盛大に汚物をぶちまけた。
 とはいえ、いつも寝る一日前には腹に何も入れないようにしている。

 どうせ毎回この夢を見て、胃の中の物をぶちまけるのだ。
 食料だって安くない時代。
 そんなもったいないことはできない。

 俺は胃液の酸っぱさに顔をしかめ、しばらく吐きつづけた後、用意してある水で口の中と喉を洗う。
 もう、この作業にも慣れた。
 
 眠れば必ず見るこの夢。
 最初はきつかったが……今ではもう習慣になってしまった。

 しばらく息を整え、ムカつく胸を押さえる。
 その間、目だけが周囲を確認するように動き回す。

 燃えていない
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