拠点フェイズ 4
拠点フェイズ 北郷盾二
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は……俺だ。
彼女と結ばれるのは………………『俺』じゃない、から……
「……………………」
「信じている……それだけの想いを持つのはいい。だが、人は誰しも……言葉を以って伝えなければ……伝わらない」
「……………………」
桃香の顔が歪む。
その顔を見られない。
ごめん、ごめん、桃香……
でも俺は……もう決めていたんだ。
君のことを、本気になってしまった、その前に。
「君は最後まで……俺をご主人様としか、言わなかった」
「だ、だっ、だって……」
「俺は君の兄でも父でも……家族でもない!」
「!?」
胸に、大きな穴が開く。
桃香の胸に……俺の、胸に。
その桃香の腕が……俺の腕にしがみついていた手が……ゆっくりと力が抜けていく。
そして俺は……心を氷のように固めて……桃香を見た。
「俺は……唐周を追う。神輿がほしいなら……すがりつく存在がほしいなら……一刀を使え」
本当は……けど決めてしまった……
いいのか、これで……何度も葛藤して、何度も狂いそうなほどに迷った……
「ご、ごしゅ、あ……」
「それを是とするかどうかは一刀が決めることだ。俺は一刀に、そして君に、居場所を用意した。自らの夢でも希望でも野望でもいい。それを叶える場所を……用意したつもりだ」
それでも俺は……一刀を……
『かずと』を……
「あっ……あっ……あ……」
「俺は……誓いを果たした。役目を終えた……だから」
だから……今までの俺は、これで――
「さよなら……だ」
桃香は、俺の言葉に。
崩れ落ちるように、その手が離れた。
俺は、そのまま立ち上がる。
「君の大志……このまま未完成のままだと、いずれ周りのものを巻き込んで、滅ぼすだろう」
「………………」
「自らの夢は……自分の意志で掴め。これは……最後のっ………………」
……っく!
こらえろ、バカがっ!
想いを凍らせて……言わなきゃならない!
これが………………………………最後、なの、だか、ら……
「………………っ、最後の、献言、だ」
――そして俺は、歩き出す。
言うべきことは……全部、言えた、はず、だ……
慰霊碑を背に、崩れ落ちる桃香を背にして。
俺は…………
「あなたが好きです!」
!?
思わず足が止まる。
桃香が叫んだ言葉。
俺が、欲しかった……恋い焦がれた。
そして……ずっと聞いていたかった、言葉。
「貴方を……愛して、います……」
「……………………」
だが、俺は。
唇を噛みちぎり。
歯をガチガチならし。
拳を砕けるほど握って。
溢れそうになる涙を
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