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『ある転生者の奮闘記』
TURN5
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用している。新しく造船所を建築しているのは全部で九ヵ所ある」

「……それでもガメリカには追いつけない……か」

「まぁね。日本は星域は元から一つなのに対してガメリカはマイクロネシア等も入れたら八ヵ所もあるからね」

 茂が溜め息を吐いた。

「それに大量のベテランが戦死したのも頭痛の悩みだよ。乗組員はヒヨコだからね」

「やから俺が訓練目的で第四戦隊の乗組員を練習艦隊に派遣したんやろが……」

 満州会戦で大量のベテラン乗組員を失った日本海軍は立て直しに追われていた。

 第四戦隊がドック入りしたのを受けて、俺は第四戦隊の乗組員を期間限定で練習艦隊に派遣させたんやな。

「それでも足りないよ。満州会戦前の状態に戻すなら全艦隊を練習艦隊にさせる必要があるよ」

 茂はそう言う。

「……まず無理やろな。ガメリカやエイリスの事もあるしな」

「だろうね。一応退役した50式艦艇を練習艦隊に回しているけど、いやはや困ったもんだよ」

 茂は深い溜め息を吐いた。

「……お茶に砂糖でも入れたろか?」

「リンディ茶はヤバい気がするよ」

「ならハチミツでも差し入れたろか? ハチミツを津波に塗ってそれをペロペロ……」

「雪風、君が言おうとする事は非常に自分にとっては有りがたいと思うよ」

 茂がにこやかに微笑む。

「なら今度の差し入れはハチミツやな」

「フフフ、今からワクワクしてきたよ」

 茂がニヤリと笑う……けど茂は知らないやろな。

 後ろにスパナを構えた津波がいる事を……。

 勿論茂はスパナで撃沈した。





 後に研究室に訪れて茂にハチミツの事を聞いたら「大丈夫。毎日ペロペロしてるからね」とニヤリと笑ってた。

 良い子の読者はそんな事をしたらあかんで?

 そしてア・バオワ重慶を占領してから四ヶ月後、ガメリカが日本に対して安全保障条約――安保条約を提案した。

 勿論こんなクソみたいな条約は誰も呑む気はしない。

 御前会議で山下長官が大激怒したほどやな。

 まぁその安保条約前にドクツとイタリンと三国軍事同盟を結んでいるからその影響やろな。

 また三国同盟の一環でデーニッツ少将のUボート艦隊が日本に来ている。

 ガメリカは明らかに日本と戦争をしたがっている。

 日本陸海軍はそう共感した。

 日本の選択は降伏か戦いかの二つの選択しか無かった。









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