高速道路最速奇譚! 後編
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騎士の名に懸けてそっ首切り落とさねばなりますまい!?それこそ我が騎士道ィィィッ!!」
「どっふぇぇぇあああああ!?」
次の瞬間、何か光る白刃をその目に捉えたその瞬間、車の窓の中に凄まじい速度で西洋剣が飛び込んできたのである。―――が、間一髪。窓のウィンドウが逆ギロチンとでもいうべき速度でせり上がり、剣先は俺のこめかみにぶっささる直前で停止した。
全身の毛孔が総毛立つほどにおっかない明確な死のイメージが鼻先三寸に居座って、初めて理解するコペンの警戒の意味。その剣は、まるで血が付着したように赤黒く染まっていたのだ。
「むお!?何と、たかがガラス細工如きが我がスンヴァラシイ太刀筋を防ぎおおせるか!面妖!いたく面妖!流石は百鬼を総べる者、車でさえも唯物では非ざるか!!」
「あっああっあぶっあぶあぶぶ危ねぇだろうがドアホぉぉぉぉぉ!!!」
「のわぁぁぁッ!?あまりにも唐突な不意打ち的反撃にワタクシショーック!?」
で、恐怖が去った後にすぐ怒りがこみ上げた俺はそのままハンドルを回してクビナシライダーに車タックルをかました。重量で圧倒的に劣るバイクでは乗用車の質量と速度が生み出す衝撃を吸収しきれまい。
剣の重量に振り回されてあたふたしているディック。お前なんかをナイスミドルのダンディだと思った俺が馬鹿だった。窓についた傷を見て、腹の底に重く黒い感情が湧き出て来るのを自覚した。メンテだってタダじゃないのに窓に傷なんて・・・しかもこちらは何もしていないのにいきなり剣を突きつける暴虐ぶりに頭の血管がぴくぴく動いた。
その怒りを一旦治めてくれたのは、いつも一緒に走る頼もしき相棒だった。
『粋はん、お怪我ありまへんか?』
「助かった、コペン・・・マジ死ぬかと思ったアンニャロウ!っていうかひょっとしてコペン、これに感づいてたの?」
『伊達に1000年以上車やってまへん。スリッパだかホロニガだか知りまへんけど?あげな若造に遅れ取るほど楽な走りしとりまへんえ!』
「わお、素敵!惚れちゃう!結婚して!!」
『粋はんとの決着がついたら考えてもええよ?』
結ばれたら歳の差1000年越えのウルトラ歳の差カップル誕生の巻である。いちゃこららぶらぶきゃっきゃうふふな空気になりかけるが、そういえばコペンは車だから結婚できない。まぁ今でも十分人生のパートナーなので結婚してもしなくても変わらな――あれ、なんか急に車に影が差した?と思った俺はふと上を見上げた。
・・・見なきゃよかったとちょっぴり後悔した。
「そ〜んな二人に〜♪あ・く・む・の・パァーップルムゥゥゥーーーーーンッ!!!」
「お前かよ!?」
そこには、何やら紫色に光る車輪で宙に浮くディックの姿があった。さっきの体当たりでヘルメットが取
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