第一部 刻の鼓動
第一章 カミーユ・ビダン
第一節 前兆 第二話
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返るほど刻み込まれるこの違和感は一体なんなのだろうか?
いけない――そんなことを考えて生活していたら、反乱分子と目をつけられてティターンズに尋問されてしまう。そう頭で判っていても、一度浮かび上がった違和感の正体が自分の中で実体化してしまうと、人はそんなに簡単に忘れ去ることはできない。どうしよう。そんなことを考えながらキーボードを叩き始める。
「地球連邦政府は人類の宇宙進出を経済的側面から支える目的で成立した政体であると言えます。しかし、その当時ですら、果たして本当に統一した政治機構が必要であったのかという疑問は常に存在していました。ただ、懐疑的なインテリは左派と見なされ、主流から排除されていくという事態に、多くはサイレントジェントルマンと化したと言われています。いわゆる群集心理による感情論の沸騰が、理性的解決を拒絶した瞬間であると言わざるを得ません。
二十二世紀中頃には、重力緩衝点――すなわちラグランジュポイントに実験的な島一号型スペースコロニーがいくつか設置され、地球連邦政府最大の機関である『宇宙移民局』主導により、L5に島三号型スペースコロニー――のちのサイド1一バンチ〈シャングリラ〉の建設が始まり、これへの移民開始を以て宇宙世紀の開闢となるのです」
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