第十話
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い知恵を振り絞って考えた。
そこで思い出したのが、昨日テレビで見た光景。
空を切り裂く星々の群れ。
生涯八回しか使えない魔法を使用することに意識は無かった。決して使ってはいけないと言われたことも意識の彼方へ。
両腕から立ち上った光の柱が分厚い雨雲を蹴散らし、膨大な魔力が魔法という奇跡の形へと変わり、望んだ願いを引き起こす。
記憶に新しい映像と相違ない光景に安堵の吐息がもれた。
見れば、少女は開いた口が塞がらない様子で、目の前の奇跡に目を奪われている。
光の軌跡を残す流星郡。次第に少女の顔に笑みが浮かんでいった。
ジッと少女の顔を眺めていた俺は思わず呟いてしまう。
「おねえちゃんのきれいなえがお、ぼくはすきだな……」
太陽のような笑みとは真逆、月のような笑み、と言えばいいのだろうか。まさしく微笑といった風情に見惚れてしまった。
「えっ……」
「あうっ! えっと、その……なんでもない! おつかいたのまれてたからバイバイ!」
急に気恥ずかしさがこみ上げて着た俺は逃げるように走り出した。
唖然とする少女を背に、はやる気持ちを押さえながら岐路につく。
ちなみにその日の夕食時には少女との出会いをおばさんたちに延々と一時間ほど聞かせた。
† † †
「――完全に思い出した。そっか、リーラがあのときの……」
「はい。ご主人様に笑顔が好きだと言われた女の子です」
「うっ……あまりイジメないでくれ。思い出してすごく恥ずかしいんだから……」
何も考えずぬけぬけと口にしていた言葉の数々に赤面する。
子供だったからこそ素直に言えたところが大きい。身も心も成長した今では羞恥心やらなにやらが邪魔をして言葉にするにはかなり力がいるだろう。
(それにしても、あの女の子がリーラだったとは……)
よくよく見れば確かに面影がある。
あの頃から壮絶な美女だったが、成長した今では磨きが掛かり、今では絶世の美女といっても過言ではない。
出るところは出て引っ込むところは引っ込んだ、均整のとれた身体。鈴の音のような声音。
色白の肌は処女雪のように白く、ポニーテールの銀髪は綺麗以外の形容が見つからない。
(今思えば、一目惚れをしたのは俺のほうかも……)
「ですが、本当に嬉しかったのですよ? ご主人様が残してくださった言葉の数々が私を変えてくれたのです」
リーラはベッドに腰掛ける俺の側
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