第六章
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第六章
「三日。宜しいですね」
「三日か」
「はい。三日後答えを持って来ます」
厳かな声でミノタウロスに述べるのだった。
「三日後に」
「わかった。待とう」
ミノタウロスもまた覚悟を決めていた。ダイダロスのその言葉に静かに頷いてみせた。
「三日。確かにな」
「有り難き御言葉。それではまた三日後に」
「どのみち。ここにいてもどうにもならない」
ミノタウロスは腕を組んで述べた。
「最早な」
「その通りです。ミノタウロス様はここにおられるべき方ではありません」
「外にだな」
「そう、外に」
「出られるというのならそなたに任せる」
最早全てをダイダロスに任せると決めていた。腹を括っていたのだ。
「全てな」
「有り難き御言葉。それでは」
「うむ」
二人は最後にも言葉を交えさせた。こうして三日後その外の世界に出られる手段を持って来るという約束を交えさせて二人は別れた。そして時は経ちその三日後になった。
ダイダロスはラビリンスに来た。見ればその手には白く大きい鳥の翼を持っていた。
「鳥のか?」
「これが外に出られる手段です」
ダイダロスはその翼をミノタウロスに見せたうえで述べた。
「これを両手に持たれ」
「ふむ、わかった」
どのようにして使うのかは彼にもすぐにわかった。
「それを羽ばたかせて外の世界に出るのだな」
「左様です」
「鳥のようにして」
このこともすぐにわかったのだった。
「そうしてだな」
「おわかりですか。それなら話は早い」
「すぐに。出られるか」
言葉には期待が込められていた。
「このラビリンスから」
「はい、今すぐにでも」
「鳥になり」
また鳥という言葉を口にした。
「私は。出られるのだな」
「その通りです。ではミノタウロス様」
「うむ」
ダイダロスの言葉に対しても強く頷いてみせた。
「行こう。外の世界へ」
「私も御一緒させて頂きます」
「そなたもか」
「お誘いしたのは私です」
自分のことも話に出してきた。
「ですから。私が責任を持って」
「外に誘ってくれるというのだな」
「それで宜しいでしょうか」
真摯な目でミノタウロスの目を見ながらの言葉であった。
「御一緒させて頂いて」
「頼む」
その目に対する返答は一言だった。
「是非な」
「有り難き御言葉」
「そなたを信じると決めている」
ミノタウロスの言葉には微塵も動かない強い決意があった。
「だからだ。共に来てくれ」
「はい」
「頷いてくれるか」
「私は。最初は」
ダイダロスはここで己の本心を語ってきた。
「ここまで考えてはいませんでした」
「ここまでとは?」
「ただ。門番を務めさせて頂くだけでいようと思っていました」
ミノタウロス
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