第六章
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初
に対して語る。
「ですが」
「ですが?」
「それは変わりました」
これもまた彼の本心であった。
「貴方様と御会いし共にいるうちに」
「変わったというのか」
「貴方様を外の世界にお連れしたい」
彼は言う。
「そして外の世界も実際に教えさせて頂きたいと」
「そう考えるようになったのか」
「左様です。ですから私の翼も用意してくれました」
それももう用意してあるというのだった。
「ですから。是非」
「私もだ」
ミノタウロスは今のダイダロスの是非、という言葉に応えて述べた。
「共に来てくれ。これからもな」
「喜んで」
こうして彼等は空にはばたき二人でラビリンスを、クレタを後にした。その後ダイダロスはクレタを離れても賢者として広く知られた。ミノタウロスについては詳しい話は残ってはいない。だがそのダイダロスと共にいる若い賢者の話は残っている。彼はダイダロスの後を継ぎその深い叡智を伝え続けたという。その彼がミノタウロスなのかどうかはわからないがそうした賢者はいた。ラビリンスを解くような深い叡智を持つ賢者は。
孤独な牛 完
2009・1・27
[8]前話 [9]前 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ