入り混じるは想いか欲か
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りと口を引き裂いた。
「さすが七乃。それでいい」
「しゃあねぇが……それで行くか」
「ひひ、あたしのは楽しそうな仕事だねー♪ 本隊も来るしいいかも♪」
「責任感が強くて義に憧れを持った子なのでそういった動きをしてくれますからねぇ」
ほっと一息。
七乃は同時に、夕に一瞬だけ目くばせをして、小さく頷いたのを見てさらに安堵し、視線を戻した。
ではこれにて本当の軍議を終わりますの一声で〆られ、短いはずが、思いの外長く感じた軍議もお開きとなり、それぞれが天幕へと戻って行った。
七乃は願う。
どうか、自分の思惑が全て上手く行きますように、と。
そして……珍しい事に懺悔を紡いだ。
――利九ちゃん、ごめんなさい。美羽様は私が必ず生かしてみせますから……美羽様の為に死んでください。
†
『救出の報告がまともに届くかも分からん。それに……もしかしたら既に小蓮様は殺されているかもしれん』
冥琳のそんな言葉を受けて、雪蓮は一つの事を決断した。
「全軍……反転っ! 今より我らは袁家に反旗を翻す! 長き雌伏の時を終わらせよう! この時より、我ら孫呉による平和な時代を築き上げようではないか!」
蓮華達、若い世代を信じる事にしたのだった。必ず助け出してくれると信じ、先に袁術を討とうと決めたのだ。
曹操軍へ伝令は送った。三度目の衝突は有り得ず、それぞれの部隊と合流し、共に敵を打ち崩してほしい……と。
孫策軍の全ての部隊は曹操軍への奇襲を仕掛けずに、四つの部隊にて袁家本陣を強襲せんと歩みを進めた。
対峙していた部隊が各々に背中を晒す事で、強引に信頼関係を示そうというのが狙いの一つ。
華琳の決断は信。
曹操軍はそれを信じ、孫策軍の後ろを守るように部隊を進めて行く。
ただ……後詰として配置すると言った郭図の言は守られておらず、拠点には人っ子一人いないという異常事態に、冥琳も、雪蓮も警戒の為に行軍速度を緩めた。
徐々に本陣へと近付いていく二つの軍。初めは罠があるかと警戒していたのだが、本陣付近まで来ても未だに敵との戦闘は無かった。
袁家本陣まで後一日となった所で漸く……孫策軍は奇襲を受けた。
部隊をばらけさせて本陣に向かわせているのが悪かったのか、それに相対したのは雪蓮の部隊だけ。
現れた将は……紀霊こと利九であった。
凡そ二万五千。
それが利九率いる袁術軍の数。蓮華が掻き乱し、方々にばらまいた亞莎の斥候の働きで本隊との情報交換が成り立たなかった事によって、混乱のままに物資拠点を守り続けた二万と合流した利九は、本陣へ向かわずにそのまま孫策軍の行軍経路に伏せていたのだった。
五千を五つに分けられた部隊での簡易包囲にて、雪蓮の部隊はその
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