入り混じるは想いか欲か
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♪ 結構派手にやっちゃってたし、今日は抑えが効かないかも♪」
「出来るなら余り遅くまではしてくれるなよ?」
「えー、無理かなぁ」
挑発のせいでもあるが、正直この高ぶりは抑えられそうもない。
二つの意味で、愛しい人の提案が有りがたかった。
心の内で感謝を伝えつつ、それからは何気ない会話を繰り返しながら自身の天幕へと向かっていった。
ただ何故か……いい事と、少し悪い事が一度に起きそうな……そんな気がしていた。
†
雪蓮と冥琳が去った天幕の中、猪々子が美羽を寝かせに行った頃合いを見て、呆れたため息を零したのは二人。
「はっ……吐き気がするね。そんなに妹が大事なら大人しくあたしらに従って戦えっての」
「珍しく同感だ。孫呉の為だなんだと言いながら、幼い妹を人質に出した上に同じ年齢くらいの袁術を殺す気満々……素直に従ってない時点で所詮は俺達と同じ穴のムジナじゃねぇか」
「うっわ、あんたと一緒の意見とか余計吐きそうになったし」
べーっと舌を出した明を見て、郭図は心底嫌そうに顔を歪めた。
「はいはい、それは悪ぅございました。今は内輪で揉める場合じゃねぇだろがよ。俺と田豊は首が掛かってるんだぜぇ? ちっ、しかし上層部のクソ爺共……俺がどれだけ袁家を潤して来たと思ってんだよ」
二人の失態は大きい。
先程けなし合いをしていた通りに、郭図も夕も、その失態から後に引けない状況になっていた。
二万の軍勢が不可測によって壊滅させられた郭図と、重要拠点となるはずの城にて大量の補給物資を失ってしまった夕は、新たに失態を重ねる訳にはいかない。
互いに相容れぬ間柄ではあるのだが、利害の一致という点に於いて今回だけ、明と夕は郭図とある程度割り切って手を結ぶ事に決めていた。郭図もそれには不満を漏らさず、普段であれば夕の意見とぶつかり合う所なのだが抑えていた。
そして特に夕は、郭図に預けた策も自分のモノである事が合わさってそうせざるを得ない。
「あのー」
のんびりとした声音、腰をかがめた上目使いで見やる七乃に、皆の目が一斉に集まった。
「何?」
「多分ですねぇ。情報収拾の時間に違和感があるので、孫呉側の妨害が入ってるみたいなんですよぉ。何が狙いだと思いますか?」
言われて目を瞑る夕と郭図は数瞬で読み取ったのか、それぞれに目を薄く開いた。
「おい、田豊。ちゃんと追加指示したんだろうなぁ?」
「多分追加は届かなかったと見ていい。でも時機的に殺害指示は届いてたはずだからあっちの失態の疑いが強い。紀霊が迷って、孫権の部下が上手だったということ」
「クソが。張勲が極秘で進めていた懐柔策は中々面白かったが、今回の時機とは相性が悪い。せめて徐州を取れりゃあどうとでも出来たんだが
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