入り混じるは想いか欲か
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うか。
軍師とは理で戦場を判断するモノ。現に、雪蓮の有り得ない的中率を誇る勘ですら、冥琳は信じる事を躊躇う。
確かにそれにばかり頼りすぎては、万が一間違った時に莫大な被害を伴う。
だから冥琳は先に自分の中で道筋を立てて計算し、雪蓮の勘での選択と同じ結果になるモノも、自身の思考とは別に作り上げていく。
祭としては、自分の経験から来る勘というモノも信じて欲しいのだが、冥琳の精神的な負担を思うと言い出しにくい。
それほど、祭は冥琳を信頼して且つ、大切に思っている。
故に彼女は、もう一人の軍師の判断に委ねる事にした。
実力的には冥琳に劣るが、それでも孫呉では飛び抜けた軍師である陸遜――――穏に。
「陸遜に伝令。本陣には敵の気配が薄く、周辺を捜索すべきではないか、とな」
直ぐに駆けて行った兵の背中を見送って、彼女はその場で軍を停止させた。
穏やかな日差しはまだ午前のモノ。戦闘をするには十分な時間であった。
ふいに彼女は、今回の戦では無く、これからの大陸に思考を向けた。
――曹操軍はこれからさらに……当初の予想より遥かに強大になるじゃろう。その時に儂らだけで相対するのは……ちと厳しいか。
彼女が戦った部隊は紛れもない精兵であった。
楽進の率いる兵も、許緒の扱う曹操軍親衛隊も、どちらも侮れず、気を抜けば容易に潰されていた事は予想に容易い。
本人たちの武も中々で、磨けば光るモノを確かに持っていた。
まあ、二人掛かりだとしても祭が片手間で相手取る事が出来るのが現状ではあるが。
それよりも彼女が不安に思ったのは徐晃の部隊。
彼女とて、死兵は数多く見てきた。自身も憎しみに染まり、死兵に堕ちた事もあった。
だからこそ分かる。アレは別モノだ、と。
――徐晃と曹操の組み合わせは拙い。あの部隊は……
思考に潜っていると、彼女の元に伝令が届いた。
それは北から攻める為に行軍していた陸遜隊からの急ぎのモノ。先ほどの伝令の返しにしてはあまりに到着が早過ぎた。
「申し上げます! 北上中の袁術軍に袁の牙門旗を発見し、逃げられる前に奇襲を仕掛けようと部隊を進めたのですが、向かう先に伏兵を確認、さらには袁紹軍の増援が到着したようで敵兵合わせてその総数六万程かと! 至急、救援来られたし!」
「なんじゃと!?」
告げられた報告に、祭は苦々しげに顔を歪めた。
「曹操軍にも救援の依頼は出しております。陸遜隊は一里の間を開けて待機しております。陸遜様の命で伏兵への警戒をしておりましたので被害はありません」
逃走を図ったと見せかけての伏兵は戦の常套手段。功に焦らず、警戒を怠らなかった穏に祭は舌を巻いた。
「直ぐに向かう。曹操軍が到着次第、総攻撃を掛けるのがよかろう。公瑾にも
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