第二章
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」
飼育係の二人はこんなことを話してぼやいていた。彼等にしても自分達が愛情を持って接しているゴリラ達がそう思われるのが残念で仕方がなかった。そんなある日のことだった。
「またここに来るなんてな」
「だってこの子が」
あの若夫婦だった。やはりあの幼い男の子を一緒に連れて来ている。
「どうしてもっていうから」
「そうだよな。全く何でなんだ?」
父親はぼやきながらゴリラの方を見る。見れば相変わらず後ろ足で長い腕を今にもつかんばかりにしてそのうえでいかめしく歩き回っている。
「こんな如何にも凶暴そうな生き物のところにな」
「そうよね。虎の方がずっといいのに」
「全くだよ」
夫婦はこう言い合って後ろに顔を向ける。後ろには虎の檻がありその中で気高く美しい姿を見せていた。目の光も実に鋭くまるで剣だ。
「何でこんな不恰好なのがいいんだ」
「わからないわよね」
「あっ、ほらお母さん」
しかし男の子はここでそのゴリラ達を指差して笑うのだった。
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