EPISODE13 傷心
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その際響をそっと降ろして向かった先はネフシュタンの少女。うまく動かない身体を精一杯動かし、肩から突っ込む。タックルを喰らった相手は少し吹っ飛び、尻もちをつく。なんとも間抜けな姿を晒してくれた相手を睨み据えたその時――――再び針が雄樹に突き刺さった。その光景に唖然とする。
今のは攻撃じゃなく、自分を庇って・・・・?
「ユウ兄ぃ!」
「雄樹さん!」
慌てて駆け寄る響。翼は行く手を阻まれ、発射された第二射を剣で弾く。
「ユウ兄ィ、ユウ兄ィ!」
もう泣き声で自分の名前を呼んでくる響に力なく大丈夫と告げる雄樹だがその言葉にいつもの説得力はない。みるみる内に弱っていくのが見て取れる。
「ユウ兄ィ!ヤダよ・・・・ヤダよ!」
手を握る。握り返そうと手に力を入れる雄樹だが、うまく力が入らない。それどころか目もかすれてきた。
「なんで・・・・なんで、アタシなんかを・・・・!?」
『…、言ったでしょ?理由なんてない、だから殺させないって・・・・』
力なく出されるサムズアップ。乾いたやはり力ない笑いが少女の心を強く打った。
『大丈夫…?ちょっと乱暴だったから・・・・怪我、してない…?』
「ダメだよ、喋っちゃダメだよ、ユウ兄!」
「な・・・・な、んで・・・・!?」
ひたすら驚愕するネフシュタン。しかしそこに翼の斬撃が入ったところで思考がまとも働く程度のレベルに戻され、退却する。それに舌うちする翼だが、大剣を盾代わりにして二人を素早く拾い上げて退却した。
♪
〜PM 12:30 特異災害対策機動部二課 集中治療室前〜
赤いランプを見上げ設けられた椅子に腰かける響と、壁に背を預けもたれかかる翼。あのあと担ぎ込まれた雄樹は意識不明の重症。心肺停止の最悪の状況で今もなお了子他医療スタッフによる懸命な措置が行われている。
「・・・・あのノイズ、どうなったんですか?」
「…位置はあの場からうごいていないらしい。どうやら特定の範囲内にいるものにたいして行動するらしい。云わば自動迎撃の砲台・・・・といったところか」
話題に雄樹のことを出さないあたり努めて踏ん張っているのだろう。おそらく頭の中はぐちゃぐちゃに違いない。ままならない思考を必死に動かしている姿には感心するが・・・・翼としては非情、とも受け取れた。なにせあれだけ雄樹にべったりだった響が心配こそしていても話題にすら出そうとしないのは意外なことだからだ。普段の彼女からすればこういう時、軽くパニックになるか泣きじゃくるかのどちらかと思っていたがそうではない。
心の持ちよう・・・・なんだろうか。それとも元々鉄のハートの持
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