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万華鏡
第七十八話 バレンタインデーその八
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「そのお返しを今度は私達が食べて」
「それで終わりね」
「ギブアンドテイクよね」
 琴乃がここでこう言った。
「本当に」
「バレンタインは基本そうよね」
「お返しを貰うこと念頭よね」
「というかお返しないとあげないし」
「こっちもそうよね」
「それ絶対だから」
「ううん、何か本命の子がいないバレンタインって」
 琴乃はこんなことも言った。
「ただ義理チョコを渡して終わりよね」
「ホワイトデーにお返しを貰ってね」
「それで終わりよね」
「というか皆本命の子いる?」
 琴乃はダイレクトにこのことも尋ねた。
「誰か」
「いたらもうとっくに告白してるわよ」
「これまで幾らでもチャンスあるから」
「というか今時バレンタインにこそって娘もいないでしょ」
「告白は何時でも出来るんだから」
 極論すれば確かにそうだ、告白の時は何時でもいい。バレンタインでなくともクリスマスでなくともである。
「昨日でもいいし」
「まあ本命いる娘はそもそも義理チョコは徹底的に手を抜くわよ」
「もうどうでもいいから」
 チョコレートへの情熱が本命の相手に集中するからである。
「それこそチロルチョコ一個ずつとか」
「あれ長い間一個十円だったしね」
「あれで済んだら凄く安いし」
「一個二十円だから」
 今はこの値段になった、チロルチョコの一個十円という偉大な値段は残念ながら崩れ去ってしまっただ。
「二十人に買っても四百円」
「その後は全部彼氏に」
「お金も情熱も注ぎ込む」
「そうなるからね」
 こうそれぞれ話すのだった。
「普通にね」
「そうなるよね」
「そもそも本命いたらここで女の子で集まって話しないから」
「本命の子と話すから」
「普通にね」
「そうよね、考えてみれば」
 琴乃も義理チョコ組として考えて言う。
「そうなるわね」
「でしょ?こうした日は彼氏と一緒にいるわよ」
「本気チョコあげた相手とね」
「女の子同士で集まらないから」
「それでホワイトデーのお返しも義理とか言わないから」
「もっと熱くなるわよ」
「ううん、何か私達って」
 どうかともだ、琴乃は言った。チョコレートを渡し終えた後の清々しさに彼氏がいないという現実に対する寂しさが含まれていた。
 そしてその清々しさと寂しさの入り混じった顔でだ、こうも言った。
「恋愛方面はね」
「全然縁がないわね」
「何ていうかね」
「そうした意味では寂しい青春?」
「そうなるかもね」
「かといってもね」 
 彼氏はいない、それでもだと言う琴乃だった。
「寂しいかっていうと」
「違うわよね」
「結構以上に充実してるわよね」
「遊んで部活して勉強して」
「こうして集まってお話とかして」
「そうしていてね」
「そうよね、寂しい
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