第十二章 妖精達の休日
第一話 言動には注意しましょう
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ティファニアが頬を染めて俯く姿が浮かんでいたが、実際のところは、ティファニアは頬を引きつらせて逃げるように背を反らしていた。
「けけ、結構です」
壁と男子生徒に取り囲まれ逃げ場のないティファニアは、壁に背中を押し付けながら顔を隠すように帽子のつばを掴むと大きく下げて顔を隠した。
「そんなことは言わず、さあ、行きましょう。外へ出れば気分も考えも変わりますよ」
他の男子生徒が不意にずいっと横から顔を出すと、ティファニアはびくっと身体を震わせると助けを求めるように周りを見渡す。しかし、周囲にいるのは全員男子生徒である。助けてくれないかと目を合わせると、にこりと笑みを浮かべるだけ。どうやら周りにいる男子生徒たちの考えは一致しているらしい。編入してきた当初は誰が誘うかで決闘騒ぎまで起こしかけていた彼らであったが、共通の敵が現れてからは協力し合うようになっていた。
その敵と言うのが誰であろう―――セイバーである。
最初はティファニアと同じように声を掛けていた男子生徒たちであったが、何が原因かは分からないがクラスの男子生徒全員が一日学校を休んでからはセイバーに声を掛けるようなことはなかった。そして当然の結果として、セイバーへ声を掛ける者が減った分、ティファニアへ声を掛ける男子生徒は増えてしまった。その事に責任を感じたのか、セイバーはしつこい男子生徒を排除してくれるようになった(飯時以外は)。
そのお陰で(食事の時間以外では)男子生徒からのストーカー行為から逃れられるようになったのだが、その分セイバーがいない時間はクラスの男子全員で協力して声をかけてくるようになってしまった。セイバーが私用でティファニアの傍にいない時は、攻撃、防御、援護、見張り等、どこぞの戦争に行くかのかとつっこみたい程に時には司令官まで立ててまで協力してティファニアに粉を掛けているのである。
と、言う訳で、セイバーとティファニアによりクラスの男子の連帯感が半端なく高くなったが、誰もそんな事は評価をするはずもなく。結果として、クラスの女子生徒たちの男子生徒に対する評価は既に落ちるところまで落ちることになり、女子と男子の間には深い溝が出来ることになった。そんな原因となったティファニアを女子生徒が助けるはずもなく、男子生徒に囲まれるティファニアを憎々し気に睨み付けるだけであった。
周りに味方はおらず、色に狂った男の軍団に囲まれたティファニアは、自分が今絶体絶命の危機に陥っているのだと理解すると、直ぐにどうやって時間を稼ぐが頭を働かせ始める。
ティファニアはこうも男子生徒が自分を連れ出そうとしている理由をキチンと理解していた。端的に言えばセイバーから逃げるためだ。
セイバーが
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