暁 〜小説投稿サイト〜
剣の丘に花は咲く 
第十二章 妖精達の休日
第一話 言動には注意しましょう
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絶え絶えどころか、正常な呼吸さえ出来ずにえずいている水精霊騎士隊の面々を見回した士郎は大きく溜め息を着いた。

「はぁ、時間内に俺に触れればいいだけの簡単なゲームでその有様か」
「ちょ、これ、ムリゲーだ、だから……」
「か、勝てるビジョ、ンが、が、浮か、かばない」
「げひゅーけひゅー……かっ、かか」
「っ、ちょ、やばいやばいマリコルヌがヤバ―――っくはぅ、ひゅーひゅーぼ、ぼぐも、や、やばい……かも」

 正常な呼吸どころか痙攣さえ始めたマリコルヌを尻目に、士郎は何食わぬ顔で話し続ける。

「まあ、途中で付いてこれなくなったのがなくなった点を見ればましにはなったか」
「ま、ましか……よ、喜んでいいのかな?」

 何とか息を整え始めた(一名を除く)ギーシュたちが、引きつった笑みを浮かべる中、遂に呼吸が止まったのだろうマリコルヌの心臓マッサージを手馴れて様子で行いながら、士郎を横目で見ていたレイナールが不意に「そう言えば」と声を上げた。

「何だ」
「あ、その、そう言えばさっき隊長の傍に誰かいたような気がして」
「ん、ああ、まあ、そうだ、な」

 レイナールの言葉に顎に手を当て暫し何かを思案した士郎は、何かを決めたように軽く一度頷くと口を開いた。

「そろそろお前たちにも実戦を経験させてみようと考えていてな」
「実戦?」
「え、誰と?」

 突然の言葉に驚きの声を上げるギーシュたち。
 驚き慌てるギーシュたちに応えることなく、士郎は口の端を曲げると、蘇生が成功しふらふらと身体を起こしたマリコルヌを含む水精霊騎士隊の面々を見回した。

「なあ、お前たち。か弱き少女を守るのは騎士の役目だと思うよな」
「ふっ、そんなのは当たり前だよ隊長。美しき貴婦人を守ることこそが騎士の役目、その誉れ。例え相手が誰であろうと立ち向かうのが騎士というものだよ」
「ほう、言うじゃないかギーシュ。それでは他の皆はどうだ。ギーシュの意見と同意するのか?」

 ふっ、と髪を掻き分けるギーシュ。普段であれば金髪がふわりとなびくのだが、汗に濡れた今はべちゃりと手に張り付いただけであった。それでもすまし顔を浮かべるギーシュから視線を離した士郎は、他の隊員たちに視線を向ける。
 視線を向けられたギムリたちは、互いに顔を見合わせるとおずおずと顔を上下に振った。

「ま、まあ、反対はしないよ」
「否定は出来ないね」
「ぶ、びゅふ、て、敵が女の子ならや、ヤられるのもいい、かもしれないね」
「「「お前は黙ってろ」」」

 汗に濡れた顔を歪めて笑うマリコルヌの顔面を地面に叩きつけて強制的に黙らせたギーシュたちは、自分たちを見下ろす士郎を見上げた。

「それがどうかしたのかい隊長?」
「いや、まあ、実際にどうなるかは分からないが一
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