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剣の丘に花は咲く 
第十二章 妖精達の休日
第一話 言動には注意しましょう
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年生でもだ。その理由は、休み時間や休日等で、士郎が騎士隊の隊員である学院の生徒五人をあしらう姿が見られるからであった。学院の生徒ではあるが、メイジである五人を同時に相手をしながら、軽くあしらう姿を見れば、只者ではないことが誰にも簡単に伺い知ることは出来る。
 落ち着いて改めて士郎を見直した一年生の女子たちは、自分たちが言い寄っていた男が騎士隊の隊長である士郎だと気付くと、不安気に顔を見合わせ小声で話し始めた。その中には先程まで士郎に噛み付かんばかりに迫っていたリゼットの姿もあった。
 士郎は大分落ち着きを取り戻した女子たちを見回すと、ただ一人平然とした様子を見せるベアトリスに視線を戻した。

「で、もう帰っていいか? このまま黙って立っているの何だか間抜けのようでな」
「なら座ったらどうかしら? 這い蹲って腹でも見せたら先程の無礼は許しても宜しくてよ」

 口元を手のひらで隠しながら目を細めて士郎に笑いかけるベアトリス。笑みの形に顔は歪んでいるが、全くと言っていいほど笑っているとは言えない。

「そう言った趣味は残念ながらなくてな。遠慮させてもらう」
「あら、それならこちらも考えがあるわよ」
「ほう、考え、か」

 士郎の口元がニヤリと笑みの形を作る。
 
「その考えとやらを聞かせてもらいたいな」
「……随分と余裕ね。なに? もしかしたらあなた、自分が女王陛下の近衛だからって何もされないとでも考えているの? なら考え違いも程々にしなた方が宜しくてよ。わたしの手に掛かればたかがだ騎士隊の隊長一人どうとでも処理出来るわ。確かに女王陛下の近衛であるあなたの隊長職を解くことは出来ないけれど、あなたから辞しさせることぐらいわけないのよ」

 顎をツンっと上げながらすまし顔で士郎の事を鼻で笑うベアトリス。それに対し士郎は、ますます口元の笑みを深くするとゆっくりとした動作で腕を組んだ。

「ほう、ほう、随分な自信だが、一体どうやってだ?」
「ふふ。確かあなたには七万の軍勢に勝ったなんて大層な噂があるようだけど、そんな馬鹿な話を一体何処の誰が信じると思っているの? まあ、確かにメイジと戦えるぐらいの力を持っているみたいですけど、せいぜいが自分の隊員、それも学院の生徒を相手にしての話でしょ。本当のメイジを相手に勝てると思っているの?」

 小馬鹿にしたように髪をかき上げながら笑うベアトリスは、本塔へと指を差し向ける。

「クルデンホルフ大公国親衛隊“空中装甲騎士団(ルフトパンツァーリッター)”」

 ネズミをいたぶる猫が浮かべるような嗜虐に満ちた笑みを浮かべたベアトリスは、本塔―――否、その向こうにある魔法学院の正門に顔を向ける士郎に顎に人差し指を当てると、可愛らしく小首を傾げてみせる。

「あなた、あれに勝てると思
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