第十二章 妖精達の休日
第一話 言動には注意しましょう
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にぶつかるような勢いで走りより。その広い背中の後ろに隠れた。
士郎の背中に隠れたティファニアは、おずおずと顔を出すと士郎を見上げた。
「あ、あの、そのし、しろ―――」
口を開いたのはいいが、何を言えばいいのか自分でも分からず、もごもごと口を動かすティファニアの頭にぽんっと軽く手を置いた士郎は、顔を前に向けるとベアトリスとその取り巻きたちを視界に収めた。
「事情は良く分からないが、何も用事がなければテファは連れて行くぞ。少し用事があってな」
突然の第三者の登場に、驚き固まっていたベアトリスたち一行だったが、士郎がティファニアを促し去ろうとするのに気付くと、大きく声を上げて制しした。
「ちょ、ちょっとお待ちなさいっ!」
背中を向けた士郎に、紺色のマントを揺らしながら褐色の髪を持つ少女が詰め寄った。
「何だ?」
さりげなくティファニアを庇いながら振り向いた士郎は、指を突き刺し詰め寄る少女を見下ろした。少女は自分が詰め寄った男が、思っていた以上に背が高く、一目で分かる鍛え抜かれた身体を持っていることに気付くと、続けようとしていた言葉を出せずに口を中途半端に開いた状態で固まってしまった。
それは他の少女も同様であり、ティファニアに口撃していた勢いのまま士郎に抗議の声を上げようとした形で固まっている。
暫くの闖ュ女たちが何か言うかと待っていた士郎だったが、何時までたっても口を開かない様子を見ると、小さく肩を竦ませティファニアを促し離れようとしたが、またも、
「だ、だから待ちなさいっ!」
背後から声を掛けられ足を止めた。
「あ、ちょっとリゼット」
「っもう」
士郎が小さく溜め息を吐き出しながら振り返ると、周りの少女が押し止めようとするのを無視し前に出る一人の少女の姿があった。リゼットと呼ばれたその少女は、自分を鼓舞するように肩に掛かった褐色の髪を軽くかきあげると、肩を怒らせながら士郎を睨みつけてくる。
「あなた、こちらの方をどなたと知って無視しているの?」
限界まで背伸びをして、身体をぷるぷると震わせながら精一杯偉ぶるその姿は、何処か微笑ましく士郎は思わず頬が緩みそうになるのを片手で抑えると、首を回してリゼットの言う“こちらの方”―――ベアトリスを見た。
ベアトリスは士郎の視線に気付くと、ささやかな胸を誇るように大きく胸を逸らす。
「ああ。確かクルデンホルフ大公国のお姫さまだったな」
「っ、し、知っているのなら先程の態度は一体どういうことかしら? それが一国の王女に対する態度なの?」
まさか知っていると言ってくるとは思わなかったのか、リゼットは一瞬呆気に取られたが、直ぐに強気な姿勢に戻ると爪先立ちのまま、士郎に更に詰め寄る。
士
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