第十二章 妖精達の休日
第一話 言動には注意しましょう
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時だ、と。
トリスタニアにある修道院に引き取られることとなった孤児たちは、ティファニアとの別れの際、声を上げて泣いた。ティファニアも同じく涙を流し、思わず村に帰ろうかと口に出そうになったが、セイバーに諭され落ち着きを取り戻し、泣き笑いの顔で修道院へと向かう子供達の姿を見て結局何も口にする事はできなかった。
その後、ティファニアとセイバーは直ぐにアニエス隊長が率いた銃士隊に警護され魔法学院へと向かうことになった。
事情を事前に聞かされていた学院長であるオスマン氏を紹介されると共に忠告(女好きなので二人っきりで合わないように)を受け、その後、寮の一室をセイバーと共に使用することと指示を受けた。普通は生徒一人につき一室であるが、事情が事情なだけ特別にセイバーと合室となった。それについて別に不満はないどころか感謝をしているぐらいであるのだが、この頃はそうは言ってられなくなって来たようである。
それと言うのも……。
ティファニアは魔法学院に来てからのこの十日のことを思い返し、本日最大の溜め息を吐いた。
ティファニアの心労がここまで積もったのは理由がある。
基本的にティファニアは静かに暮らすのが好きだ。森に住んでいたからといってアウトドア派と言うわけではなくインドア派である。ウエストウッド村で暮らしていた頃は、子供たちの世話以外では特に外で遊ぶということはしておらず、暇な時は基本的に家の中で裁縫などをしていた。
と、言う訳で、学院でもティファニアは出来れば目立たつ静かに暮らして行きたかったのだが……その希望は入学一日目にして脆くも崩れ去ることとなる。
村での生活では特に気にしていなかった己の容姿が希望を打ち砕き、最大の味方だった筈のセイバーが砕かれた希望を更に押しつぶしたのだ。
つまり、分かりやすく言えば、男子からの人気と女子の憧れの君と仲がいいと言うことで、ティファニアは今、女生徒からめちゃくちゃ嫉妬されていた。
「……っ、はぁ〜」
これまでの事を思い返し、今日何度目かの溜め息を吐いた時、ティファニアの背後に複数の影が現れた。
背後に感じた気配にティファニアが恐る恐ると振り返ると十人の男子生徒たちがニコニコと笑顔を浮かべていた。ティファニアの顔が強張り、反射的に身体を回し少年たちと向かい合う。同時に背後にじりっ、と下がるが直ぐに壁に当たり動けなくなる。
「っ、な、なに?」
「いえ、いえ。ただ、どうやらお暇のようでしたので、少しでもミス・ウエストウッドの無聊を慰められればと思いまして、どうでしょうか? 馬で遠乗りでもいかがでしょうか?」
代表のように真ん中に立っていた一番背の高いそばかすのある少年が大仰に腕を曲げ一礼する。本人は格好良いつもりなのか、下げた顔に浮かぶのは得意げな笑み。彼の頭の中では
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